質問:観光地ではない場所へ行くには

私は中度の聴覚障害者で言語障害です。英語は聞き取れませんので会得は難しいのが現状です。ですので、海外旅行に行くときはツアーばかりです。
三井様のHPを見て自分も観光地から離れた場所や村等を訪れ、この国の伝統や昔ながらの生活をこの目で見てみたり、子供達とお話しをしてみたいと思っています。
そこで一人旅で行ってみようと思っていますが、英語は喋れませんのでどうしょうかと悩んでいます。
それから、その国の観光地から離れた村にいく場合、移動手段はどうしているのでしょうか?

 
 

三井の答え

 英会話については、あまりお悩みになる必要はないと思います。
 アジアの田舎では、英語が話せたとしても、英語を使うチャンス自体が少ないのです。一応、共通語として英語が浸透しているとされるインド圏でも、高い教育を受けた人以外は現地の言葉しか話せません。
 
 そんなわけで多くの場合、地元の人とのコミュニケーションは身振り手振りなどのボディーランゲージに頼ることになります。
 
 それで意思疎通できるのか?
 案外通じちゃうものなのですね、これが。
 こっちが必死で何かを伝えようとすれば、その必死さは相手にも伝わります。少なくとも「この外国人は困っているんだな」ぐらいは伝わる。
 
 以前、カルカッタの安宿で耳が聞こえないボーイと「会話」したことがありました。水をお湯に替える電熱器の使い方を身振り手振りだけで教えてもらったんだけど、その説明がものすごくわかりやすかった。下手な英語を話す人よりもずっと伝わるものだったのです。
 
 いつも言葉に頼って暮らしている人間は、それがまるで通じない相手に直面するとうろたえ、慌ててしまうものです。けれど、もともと「言葉が通じない」ことを前提に暮らしている聴覚障害者は、身振り手振りを使うことに慣れていて、その適切な使い方もよく知っているので、健常者よりも「言葉の壁」を乗り越えやすいのかもしれない。そんな風にも感じました。
 
 観光地ではない場所にどうやって行けばいいのか。
 僕は主にバイクを使っています。バイクは現地で調達します。これなら地図さえあれば(なくても)、どこへでも行けます。
 
 しかしバイクは一人旅の初心者にはお勧めできません。アジアの交通事情は、それに慣れていない人間にとってあまりにも危険だし、聴覚障害者であればなおさらでしょう。
 
 自転車はいかがでしょうか?
 アジアの観光地にはたいていレンタル自転車屋があります。1日1ドル程度で安いママチャリを貸してくれるわけです。自転車ならスピードもあまり出ないし、周りの景色をじっくり眺めることもできるし、徒歩の何倍も行動範囲が広がります。
 
 観光地で自転車を借りて、寺院や遺跡とは「反対の」方向へこぎ出してみてください。30分も走れば、外国人観光客向けではない、ありのままの暮らしが目に飛び込んでくるはずです。どんどん進みましょう。
 
 目的を定めないこと。時間に余裕を持って行動すること。
 それが一人旅の秘訣です。