夏になると「冷やし中華始めました」の看板が出るように、冬になると旅を始めるのが、この数年来の定番になっていますが、今回はまたまたインドです。このでっかい国をバイクで一周して、いろんなものを見てやろうというわけです。
 
 羽田・クアラルンプール・コルカタを経て、オリッサ州プリーにやってきた。
 プリーで泊まっているのは伝説の日本人宿「サンタナ・ロッジ」だ。泊まり客はほぼすべて日本人。普通ではちょっとわからない路地裏にひっそりとある。一見さんを受け入れない感じって、なぜか日本人宿に共通している。
 
 1泊2食付きで250ルピー(500円)という激安プライス。総じて物価が上がっている今のインドでは、ちょっと考えられない値段。しかも食事も普通にうまい。Wifiも使えるし、日本の漫画ライブラリーも充実している。ほとんど漫画喫茶状態。「外こもり」ライフを満喫するには理想的な環境だ。実際、1ヶ月や2ヶ月泊まり続けているという人も珍しくない。バルコニーでギターをポロロンと弾いている人がいたり、日本語書籍が充実していたり。あぁモノホンの日本人宿だ、ここは。
 
 プリーはインドを訪れるたびに必ず立ち寄る町なのだが、サンタナ・ロッジには足が向かなかった。噂には聞いていた。沈没者続出の激安宿があると。でも泊まってみようとは思わなかった。僕の旅は基本、ずっと移動だ。そのリズムを乱されなくなかったのかもしれない。
 
 それが今回泊まることにしたのは、とある日本人に会うためだった。つい先日、コルカタの駅でカメラやPC、HDDまですべて盗まれてしまった中田さんに、新しいカメラとMacを届けるという重大なミッションがあったのである。
 
 そのミッションは無事に成功し、どん底だった中田さんの気持ちもいくぶん上向いてきたようだ。良かった。中田さんは仕事も家も車も引き払い、ご夫婦で3年旅をするつもりで日本を出てきた。インドを旅していると、日本ではなかなかで会うことのできないユニークな生き方をしている人に出会う。中田さんもそんな一人だ。
 
 インド二日目は、これからの旅で使うバイクとiPhone用のSIMカードを調達するために費やされた。バイクはまったく問題がない。3年前にインドを旅したときに僕が買って、そのあと売ったものが、そのまま使えることになったからだ。70ccのスクーター。こんなものでインドを一周するつもりなのかとインド人にも鼻で笑われてしまうちゃちなエンジンだが、どっこいこれが乗りやすい。シンプル・イズ・ベスト。無駄なものが一切ない潔さで、これまでの僕の旅の相棒をつとめてくれた。今回もよろしく。
 
 インドでSIMカードを購入するのは手間がかかる。SIMそれ自体は160ルピー(300円)という低価格で簡単に買えるのだが、去年あたりから外国人は手続きが煩雑になった。パキスタンのテロリストを警戒しているらしいが、今も昔もインドは規制の好きな国なのである。
 
 そこでホテルのマネージャーに頼んで、インド人にSIMを買ってもらい、それを僕のiPhoneでアクティベーションした。こうすればすぐに使えるようになる。結局抜け道だらけのザル規制なのだ。結局この規制で一番損をするのは、まっとうにインドを楽しみたい長期旅行者なのだ。
 
 ここプリーで使えるのは2G回線。LTEでもなく、3Gでもなく、さらに古い2Gである。もちろんものすごく遅い。画像表示にもすごく時間がかかる。基本、テキストベースのコミュニケーションしか取れない・・・ので、ブログやメルマガの更新もスローペースになるかも、です。
 


プリーで出会った少年は、豪快に水浴びをしていた。12月のオリッサ州は結構涼しいから、少年はこのあとガタガタ震えていた。
 


海辺を歩いていましたら、童たちが砂浜に打ち上げられたウミガメをいじめておりました。「おいおい、それではカメがかわいそうではないか」といって童たちを追い払い払うと、ウミガメは感謝の言葉を述べ、わたしを甲羅に乗せて海の中に・・・。
 

浜辺に立てられた杭にロープを巻き付けて、メリーゴーランドみたいにぐるぐる回る遊び。なんだって遊びに変えてしまう子供のパワーがすごい。
 

野良犬だって、こうして生きている。それがインドなんだな。