三井 昌志
1974年京都市生まれ。東京都八王子市在住。神戸大学工学部卒業後、機械メーカーに就職し、エンジニアとして2年間働いた後退社。2000年12月から10ヶ月に渡ってユーラシア大陸一周の旅を行う。

以降、写真家としてアジアを中心に旅を続け、人々の飾らない日常と笑顔を撮り続けている。2010年にはバングラデシュ製の三輪自転車リキシャで日本を一周するという本邦初の旅を行うなど、ユニークな旅を実践。現地でバイクを調達して、行き先を決めずに移動するのが、旅の定番スタイル。

旅の経験を生かしたフォトエッセイの執筆や講演活動を精力的に行う一方、広告写真やCM撮影など、仕事の幅を広げている。「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016」においてピープル部門最優秀賞を受賞。

出版した著作は8冊。訪問国は39ヶ国。

質問

使用機材は?

  • Camera Canon EOS-5DmarkIII
  • Lens EF24-70mm/F2.8LII, EF70-200mm/F4.0L IS
  • PC MacBook Pro Retina 13inch (2016年7月現在)

写真を学んだ場所は?

写真はまったくの独学です。学校で学んだこともないし、誰かに師事したこともありません。 僕は「旅」で写真を学びました。僕にとって「旅」と「写真」は、ひとつの軸で結ばれた車輪のようなもの。どちらか一方が欠けているとまっすぐ走れないのです。 見知らぬ町を歩いていると「写真を撮りたい」という気持ちがふつふつと湧いてきます。そして「写真を撮る」という目的を持っているからこそ、何ヶ月にも及ぶ旅暮らしを続けられるのです。

好きな写真家は?

アンリ・カルティエ=ブレッソンの一瞬の中に物語が封じ込まれたようなモノクロスナップの数々は、いつも僕の想像力を刺激してくれます。 スティーブ・マッカリーの写真を見ると、いつもため息が出ます。色も光も人々の表情も、どれを取っても素晴らしい。世界はこんなにも美しく、そして力強いものなんだと思い知らされます。ポートレートばかりを集めた写真集「Portraits」、それに雨期の国々の表情を集めた「Monsoon」。どちらもお勧めです。

もともと旅好きだったの?

2001年にユーラシア大陸を一周する旅に出発した時点で、僕には海外旅行の経験は全くありませんでした。にもかかわらず、いきなり10ヶ月の旅をしてしまったということで、他の旅行者からは結構珍しがられました。「お前はホップもステップもなしに、いきなりジャンプだなぁ」と。 旅に出た時点では、僕自身もまさかこれだけ長い旅になるとは思っていなかったのです。どちらかというと自分はバックパッカーって柄ではないだろう、と思っていたのです。 ドミトリーだと他人が気になってよく眠れないし、なるべくなら温かいシャワーの付いた宿に泊まりたい。無精髭も生やしたくないし、長髪にする気もない。ガンジャやハシシの類にも興味はない。こういう性格的なものは、長旅を経てもあまり変わらなかった気がします。 しかし、2004年に二度目の長旅をしたときに、「やっぱり僕は旅が好きなんだ」と改めて思ったのです。旅に出ていると、限りなく自由になれるし、日本にいる時と全く違う自分を発見することができるのです。 そんなわけで、毎年冬が近づくと寒い日本を後にして暑いアジアを旅し、春になると帰ってくるという「渡り鳥的生活」を送るようになったのです。

旅のスタイルは?

毎年4〜5ヶ月ぐらいを旅に費やしています。日本が寒くなってくると、温暖なアジアの国々を回るという渡り鳥的な旅暮らしを10年以上続けてきました。 旅行者が集まるエリアはなるべく素通りして、何もなさそうな場所をぶらぶらと歩くというのが、僕の旅のスタイルです。口癖は「I’m not sure」。いつだって予定を立てずに、地図も持たずにふらふらと歩き回り、そして目に付いた人々にカメラを向けています。 2005年からは、移動手段としてバイクを積極的に使っています。町から町へと毎日移動する、気まぐれな旅。それを僕は『バタフライ・ライフ』と呼んでいるのですが、このスタイルによって、今まで知らなかった人々の姿がより鮮明に見えてくるようになりました。 主な被写体は人物です。アジアを旅していると、風景や建物よりも人々の表情の豊かさにより強くひきつけられるからです。 僕は現地の言葉が話せないし、ほとんどの場合相手も英語を理解できません。でも、レンズを向けてシャッターを切ることによって、言葉を必要としないコミュニケー ションを取ることができる。カメラは僕にとって(不器用で不完全ではあるけれど)重要なコミュニケーションの道具でもあるのです。

一番好きな国はどこ?

今まで旅をした39ヶ国の中でもっとも気に入っている国、そして最も長く滞在している国はインドです。12億もの人が住み、多様な文化と民族と言語とが混在する実に摩訶不思議な国。何度旅しても飽きない魅力を持っています。 インド以外には、ネパール、バングラデシュ、東ティモール、ミャンマー、アフガニスタンなどが続くでしょうね。いずれの国も観光地化されているとは言い難く、道行く人からはよく「どうしてお前はこんな所を歩いているのか?」という質問をされます。そう言われると僕は肩をすくめて「さぁ、どうしてなんだろう?」と答えます。どうしてこんな所を歩いているのか、その理由は僕自身にもわからないからです。気紛れと偶然が僕をこの場所に連れてきた。そういう風任せの感覚を僕はとても気に入っているのです。 旅人としての三井については、「旅の質問箱」に詳しく書いてあります。

Biography

Masashi Mitsui is a Japanese freelance photographer and a travel writer. He’s visited 39 countries so far, usually riding a small motorbike to immerse himself in the local environment. He has a talent for engaging his subjects, giving the viewer of an intimate look at their lives. He loves capturing smile and shining of daily life. He published 8 photo books (only in Japanese).

Q & A

When did you first become interested in photography?

In 2001, I quit my job as a mechanical engineer and started traveling the world. Until I met (continental) Asian people’s smiles, I was not interested in taking a picture. I started taking photography on my first trip.

How did you start doing it as a career?

At the end of my first 10-month journey, I was still a jobless traveler. But I launched my website and started to write travelogues with my photos. Fortunately, one publisher who checked my website offered to publish my first photo book. After that, I could identify myself as a Photographer.

What kind of equipment and software do you use?

  • Camera Canon EOS 5D Mark III
  • Lens EF24-70mm/F2.8LII, EF70-200mm/F4.0IS
  • Apple MacBook Pro, Adobe Lightroom CC & Photoshop CC

What are some photos that you’re especially proud of?

I shot this photo at a rice factory in Bangladesh. It was a very dark room without light. Some workers were carrying rice to the old threshing machine. 精米所の女 I was inspired by the sensitive light in the darkness. Instantly, I believed that it would be the perfect image. It is not an outstanding scene in general, but I love it because it represents the people’s tough daily life and strength.

How often do you encounter people who do not want to be photographed?

It depends on the area where I travel. Islamic countries are more difficult than others. Especially women. But if you understand their culture, and always behave politely, it is not difficult to get a good reaction.

What have been some of your favorite or most memorable countries to shoot?

India, Bangladesh, Myanmar. I always travel these countries in areas where tourists don’t normally go. Of course, local people are curious about me and stare at me. But it is a good chance to communicate with the people by the camera.

What’s a fun or unusual story behind a photo that you’d like to share?

In Bangladesh, a foreigner must be the rare animal in a zoo. Because only few tourists visit there, local people are very interested to see the foreigner. This photo is the typical case of a rural area in Bangladesh. So many local men ? more than 100? ? got together around me and smiled. This is the mountain of people. It’s a funny and impressive scene to capture.

Do you usually take a break from photography when you’re home in Japan?

Yes. I usually do not take photos in Japan except of my 6-year-old daughter. I recharge my battery for the next travel.

What advice do you have for photographers who would like to do what you do?

Enjoy your travel; this is your first priority. If you can’t get a good reaction, don’t mind it and go forward. The world is huge. I believe that by taking a long walk, I will find an excellent scene to capture.

主な仕事とメディア出演
  • 寄稿 ナショナルジオグラフィック「写真は語る」
  • 撮影 料理通信「生涯現役」
  • 連載 ベトナム航空機内誌「HERITAGE」
  • 出演 TOKYO FM「TOKYO FM WORLD」
  • 寄稿 婦人之友「まるいもの」
  • 講演 福岡アジア美術館
  • 寄稿 別冊PHP「世界は笑顔で結ばれる」
  • 共著 世界ダークツーリズム
  • 連載 地上「土と輝く」
  • 出演 テレビ東京「ヨソで言わんとい亭」
  • 撮影 オリックス株式会社・新聞広告
  • 連載 赤旗新聞日曜版
  • 寄稿 JICA広報誌「mundi」
  • 講演 亜細亜大学「Asia写真銀河」
  • 出演 bayFM「ザ・フリントストーン」
  • 
共著 ダイヤモンドビッグ社「撮り・旅!」
  • 撮影 クラレ社内報(高梨沙羅選手)
  • 撮影 公明党・新聞広告「安定は、希望です。」
  • 動画 TBSテレビ「アジア大会」
  • 
寄稿 中国観光局発行「中国国家旅遊」
  • 寄稿 日本IBM「無限大」
  • 連載 月刊アルコムワールド
  • 撮影 創価学会TVCM「Sing A Smile」
  • 動画 日本テレビ「ネプ&イモトの世界番付」
  • 動画 日本テレビ「世界一受けたい授業」
  • 出演 NHK-BS1「ほっと@アジア」
  • 撮影 リカルデント「Come Smile Project」
  • 撮影 タイヤ館「エコピア・サンダルプログラム」
  • 提供 JVC「国際協力カレンダー2011」
  • 出演 BSジャパン特番「畑づくりは人づくり」
  • 出演 NHK教育「美の贈りもの」
  • 出演 フジテレビ「忘文」
  • 提供 外務省発行「ODA白書2007年版」
  • 寄稿 JICA「クロスロード」
歴史
  • 2000年12月 2年間勤めていた精密機械メーカーを退社し、10ヶ月に及ぶユーラシア大陸一周の旅を行う。
  • 2001年12月 ホームページ「たびそら」を立ち上げる。
  • 2002年12月 「@niftyホームページグランプリ2002」で準グランプリを受賞。
  • 2003年12月 初の写真集「アジアの瞳 pure smiles」を出版。四谷のDays Photo Galleryで写真展を開催。
  • 2004年01月 再びアジアを巡る旅に出る。カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、アフガニスタンを5ヶ月間旅する。
  • 2004年12月 3度目の長旅へ。津波後のスリランカとインドネシアを訪れ、北アフリカのモロッコに飛ぶ。
  • 2005年09月 2冊目の著作「素顔のアジア」発売。
  • 2005年12月 4度目の長旅へ。東南アジアをバイクで旅する。
  • 2006年06月 生まれ育った土地・京都を離れ、東京・八王子に引っ越す。
  • 2006年08月 写真集「美少女の輝き」と「子供たちの笑顔」を出版。
  • 2006年11月 ネパール、インド、カンボジア、ベトナムをバイクで旅する。
  • 2007年12月 東ティモール、スリランカ、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、ネパールをバイクで旅する。
  • 2008年10月 5冊目の著作「スマイルプラネット」発売。
  • 2008年12月 カンボジア、バングラデシュ、インドをバイクで旅する。
  • 2009年10月 6冊目の著作「この星のはたらきもの」発売。
  • 2010年03月 バングラデシュで購入したリキシャ(三輪自転車タクシー)で、日本一周6600kmを走破。
  • 2011年12月 102日間かけてインドをバイクで一周する。
  • 2013年10月 東ティモール、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジアを旅する。
  • 2014年06月 7冊目の著作「写真を撮るって、誰かに小さく恋することだと思う。」発売。
  • 2014年07月 キヤノンギャラリー銀座、梅田、名古屋、仙台で写真展「ミャンマーに架かる虹」を開催。
  • 2014年12月 インドをバイクで一周する旅を行う。
  • 2015年12月 写真集「渋イケメンの国」発売。
  • 2016年04月 インド4周目の旅から帰国。
  • 2017年01月 「日経ナショナルジオグラフィック写真賞2016」においてピープル部門最優秀賞を受賞。
  • 2017年03月 4ヶ月かけてミャンマー、バングラデシュ、インドをバイクで旅する。
  • 2017年04月 キヤノンギャラリー銀座、梅田、福岡で写真展「渋イケメンの国」を開催。