質問:笑顔の撮り方

いつも楽しく拝見しています。
三井さんに何でも質問可とのことですので、撮影時のコンタクト方法についてお聞きします。
 
私も旅行中に人の写真を撮りたいことがよくありますが、ファインダーを覗いてカメラを向けると嫌われることが多いので、首からぶら下げたカメラでノーファインダーで撮影するか、遠方から望遠で気づかれないように撮影する程度です。
 
外国では言葉の問題もありますが、国内でも言葉をかけるとシグサが変わったり、表情が硬くなったり、断られたりします。
三井さんのような自然なにこやかな顔を撮るにはどうすればよいのですか。
 
 

三井の答え

 僕は基本的に被写体になる人に隠れてこっそりと撮るということはしません。その人のたたずまいがそれだけでパーフェクトで、何も言わずさっと撮った方がいいという場合は別ですけれど、それ以外は相手にその意志を伝えます。望遠レンズもあまり使わないので(ほとんどの写真を24-70mmという標準ズームレンズで撮影しています)、遠くから横顔を撮るということもやりません。
 
 といっても、いちいち「写真を撮ってもいいですか?」と訊ねて、相手に許可を求めているわけではありません。その部分だけ片言の現地語を覚えて使ったっていいのだけれど、そういうまどろっこしいことをするよりも、目線が合って笑顔が交わせれば、ああ撮っても大丈夫だなということがわかりますから。
 
 僕はカメラをコミュニケーションの手段に使っています。僕は現地語を話せないけれど、その代わりにカメラを向けてシャッターを切ることで、「あなたはすごく美しくて、とても輝いている」ということを相手に伝えているわけです。
 
 もちろん、常にいい反応が返ってくるとは限りません。むしろ僕が写真集やホームページで公開しているような自然な笑みを返してくれる人は、ごく少数だと言った方がいいと思います。見知らぬ人間にカメラを向けられて、緊張して固くなるのは当然のことです。あるいは反対に、カメラの前でテンションが上がりすぎてしまう人も多い(子供なんかは特にそうですね)。
 
 だけどごく稀に、ナチュラルな表情を向けてくれる人に出会うことがあるのです。その機会――それはまさに「僥倖」と言ってもいいかもしれません――を得るために、僕はできるだけ多くの道を歩き、できるだけ多くの人と出会おうとしているのです。
 
 自分との呼吸が上手く合う相手を探し出すこと。そして「僕はあなたのその表情が好きなんだ」と伝えること。それができれば、結果としていい写真が生まれるのではないか。僕はそのように考えています。