バングラデシュ(1)

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 マイメンシンという町の郊外を歩いていると、突然二頭の象に遭遇した。彼らは象使いを背中に乗せて、村の中をゆっくりと歩いていく。そして商店や民家の前に来ると、長い鼻を差し出して、半ば強制的にお金を要求するのである。「ちんどん屋象」というべきか、「物乞い象」というべきか。象は長い鼻の先を器用に使って、人々から預かった紙幣を頭上の象使いに渡す。子供達は驚きと好奇心の入り交じった目で、その様子を見守っていた。  外国人が珍しいバングラデシュでは、歩いているだけで子供達に囲まれたり、追いかけられたりすることもある。「映画スターになったような気分を味わえます」というのが、バングラ旅行の最大(?)のセールスポイントなのである。しかし僕ら旅行者は「見ること」には慣れていても、「見られる」ことにはあまり慣れていない。だから当然疲労するし、苛々させられることも多い。  象の出現は、そんな「見られることに疲れた」外国人旅行者には福音だった。この珍しい「物乞い象」の人気の前では、外国人の存在なんてまるっきり霞んでしまうのである。

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