「いい道」と「悪い道」があったら、僕は「悪い道を」選ぶ。これは癖みたいなものである。デコボコだらけで、時々橋が壊れていたりして、まともに通ることのできない悪路。そんな道をつい選んでしまうのである。
その先に何があるのかは、僕自身にもわからない。地図はあてにできないし、現地の人が教えてくれる情報もてんでばらばらなのだ。
それでも僕は前に進む。どんどん進む。進んでいくと、そこに何かがある。
そうやって、僕は彼女に出会った。木の枝にブランコをくくりつけて遊んでいる少女に。
「ほらね。悪い道にはこういう出会いが待っているんだよ」
僕は胸の内でこう呟く。そしてシャッターを切る。