復興現場には絶えず笑い声が響いていた。どの顔も生き生きとしていた。僕は人々の明るさと背後にある凄まじい破壊とのギャップに困惑していた。町の雰囲気はアチェに来る以前に訪れていたスリランカのツナミエリアとは明らかに異なっていたし、何の誇張もなく、アチェの人々の笑顔は僕が今までに目にした数多くの笑顔の中でも最も輝いていたのだ。
被災地を一日中歩き続ける中で、アチェの人々が笑顔でいる理由が少しずつわかってきた。スリランカの被災者とアチェの被災者との違い。それはアチェの人々にはやるべき仕事がたくさんあり、暇そうにしている人はほとんどいないということだった。
彼らは家の敷地から瓦礫を運び出し、用水路を塞いでいる倒木を取り除き、壊れたモスクを補修し、仕事を再開しなくてはいけない。そうやって自分たちにできることをひとつひとつこなしていけば、最悪だった状況は少しずつ良くなっていく。そのような復興への確かな手応えを感じているからこそ、人々は笑顔でいられるのではないかと思う。前を向いて働く人々が見ているのは、未来への希望なのだ。