タミルナドゥ州にあるティルチェンドゥール寺院で行われていた儀式は、30人ほどの集団が歌い踊りながら回廊を練り歩くというものだった。
まず目を引くのは、行列の先頭にいる男である。彼は地面に寝転がって、体を丸太のようにゴロゴロと回転させながら進んでいる。一種のトランス状態になっているらしく、坂道を転がる酒樽ような勢いで一直線に転がっていく。この男の後ろには、彼の体に白い粉を振りかける役目の男が控えている。この白い粉は擦り傷防止用に塗られているということだったが、僕の目には天ぷらの下ごしらえをしているように映った。