旅人を悩ませ続ける雨も、子供たちにとっては楽しみにひとつになっているようだった。彼らはスコールが降り始めると、雨宿りをするどころか、サッカーボールを持って広場へと駆け出していくのである。もちろん広場は水浸し。ボールだってまともには転がらないし、転んだり跳ね回ったりするうちに、みんな泥だらけになってしまう。それでも彼らは楽しそうだった。
どうせ濡れるんなら、ズボンもパンツもずぶずぶになるまで濡れてしまった方がいい。あとで洗濯するんだからさ。子供たちはそういう思い切りの良い発想の元に、まさに水を得た魚のように雨も中を走り回っていた。