東ティモール西部の町アイナロの市場のそばで、闘鶏の集まりが開かれていた。
どの町でも夕方6時ぐらいになると闘鶏の輪ができる。男たちが持ち寄った自慢の鶏が30羽ぐらいいるが、この中で実際に戦うのは何組かだ。
くちばしとくちばしを合わせて、戦う気になっている二羽がいると、足にナイフを結びつけられて戦うことになる。
闘鶏は賭けの対象である。ここでは胴元がいるらしく、それがかけ声をかけて掛け金を募っている。男たちはそれぞれの手に1ドル札数枚を握りしめている。あまり豊かそうには見えないおじさんたちにとって、1日の生活費に相当するはずだ。
闘鶏の勝負は一瞬で決着した。もみ合って2秒後には、もう一方が倒れていた。
その瞬間に男たちの興奮が最高に達した。
やったぞーと両手をあげて踊り、負けた相手に対して「ざまぁみろ」という風に挑発するのだった。