南インドの男たちはルンギーと呼ばれる腰布を巻くスタイルを基本としているのだが、汚れたり破れたりしている服をそのまま着ている人も多く、女たちのように身なりに気を配っている人はあまりいなかった。
 にもかかわらず、僕はインドの男たちに強く惹かれるものを感じていた。あるいはカラフルな女たちよりも、被写体としての魅力は上だったかもしれない。それは彼らが贅肉など一切ない引き締まった肉体を持っていたからだった。上半身裸になり、汗をしたたらせながら働く筋肉質の男たちには、無駄なもののないシンプルな美しさが宿っていた。必要なものが必要なだけある機能的な美。それがインド人男性の美しさの本質だった。
 インドでは、南に下れば下るほど人々の肌の色が黒くなる傾向があるのだが、その南インドの男たちの褐色の肌が焼け付くような太陽光線に照らされると、まるで上質の漆器のようにつややかに輝くのだった。
 肉体というのは、それだけでとても美しいものなのだ。僕は改めてそう感じた。

South India ( 2007/01)