暑くて乾燥した気候のグジャラート州では、荷車を引くラクダをよく見かけた。
ラクダ車はとてもスローである。リキシャよりも牛車よりも遅い。人が歩くのとさほど変わらないスピードで、一歩一歩を踏みしめながら歩いている。
乗っている御者ものんびりしたもので、手綱や鞭なんて握らずに横になっている。僕はラクダという動物の人を食ったような顔がとても好きなのだが、このラクダ車という乗り物も忙しく走り回る現代人に一石を投じているかのようで(もちろん本人たちにそんな気はないだろうが)なんだか好感が持てるのである。
そんなに急がなくたって、いつかきっと目的地に着くさ。ラクダは独特の風貌でそう言っているようだ。

India (2009/02)