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チベット仏教の寺院の周囲には、一度回すとそこに書かれたお経を一度読んだことになるという木製の円筒「マニ車」が並んでいる。
巡礼に訪れた人々は、数千個あるというマニ車をひとつひとつ手で回しながら、寺の周りを時計回りに巡回する。空気の薄いチベット高原では、ちょっと歩くだけでも息が切れるのだが、信仰の厚い人々は何日間も寺の周りを歩き続ける。 チベット寺院には若い僧侶の数も多い。昔から、家族の中から一人は仏門に入れる習わしなのだという。だからチベット寺院には厳粛な雰囲気の中に、学校のような賑やかさや気楽さもあった。 マニ車の並ぶ廊下を、一人の小坊主が息を弾ませて走り抜けていく。その姿は始業のベルに遅れそうな小学生にそっくりだった。あとで先生に叱られなきゃいいんだけど。 |
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