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Bamiyan , Afghanistan ( 2004/5)
 僕が旅をした限りにおいては、アフガニスタンはそれほど危険な国ではなかった。警官や兵隊の数はやたら多かったけれど、危険な目に遭うことは一度もなかった。僕はいつもと同じように町をあてもなくぶらぶらと歩き、写真を撮り、出会った人々と話をした。旅行者は皆無に等しかったけれど、アフガン人達はそのような珍しい外国人旅行者に対して旺盛な好奇心と親切さを持って接してくれた。

 でも何をおいても強調しておかなければいけないのは、アフガニスタンが美しい国であるということだ。特に僕の心を捉えたのは空の青さだった。それは全てのものを含み、なおかつ全てのものを拒むような青さだった。
 そのような非現実的な青空の下では、人々の姿も美しく見えた。頭にターバンを分厚く巻き、彫刻刀で彫ったような深い皺を顔に刻んだ男がにっこりと微笑む。その存在感のある姿は、逞しいアフガンの男そのものだった。