58.羊の国に立つ (アフガニスタン)
アフガニスタン北部は羊の国である。遊牧民達はカラカラに乾燥した大地に生える僅かな草を求めて、羊の群を連れて移動する。冬の寒さは厳しく、夏の日差しは強く、水の確保にも一苦労する土地である。
そのような土地で暮らす人々の顔には、生きることの厳しさがしっかりと刻みつけられていた。どの男もよく日に焼けていて、眼光が鋭く、手には厚みがあった。羊の群を撮ろうと近寄ると、俺の羊なんだと言わんばかりに仁王立ちになった。