62.祈り (インド)
聖なる川・ガンガーに朝日が昇る。一日のはじまりの光が、水面を黄金色に輝かせる。ガンガーが最も神秘的な色合いに染まっていく。
女は川の水でからだを洗い清めてから、朝日に向かって静かに手を合わせる。手に持った銀の器に川の水を汲んで、少しずつ垂らしていく。水を汲み、それを垂らし、手を合わせる。女はそれを何度も何度も繰り返した。
その行為が持つ宗教的な意味はわからなかった。けれど、そこに込められた祈りは、はっきりと伝わってきた。