弟を連れて (ネパール 2005)
 ネパールの小学校は、僕から見るとかなり自由だった。一応、始業開始の鐘は鳴らされるのだが、先生はいっこうに教室に姿を現さないし、生徒たちも気ままなお喋りに興じている、という光景をあちこちの学校で見かけた。急増する子供の数に比べて、先生の絶対数が足りないのである。
 日本の学校のように、1年生のクラスにいるのが6歳の子供だけとは限らない。家庭の事情で、8歳や9歳から小学校に通い始める子もいるし、1年や2年通っただけで辞めてしまう子供も多い。
 まだ小学校に上がっていない幼い弟や妹を教室に連れてくる子もいた。子守をしながら授業を受ける姿は、ネパールでは珍しくなかった。弟くんはいささか退屈しているみたいだったけれど。