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            |  | 働き者の女たち
 
 ミャンマー女性は働き者だ。
 田植えや稲刈りといった農作業の大半は女性が担っているし、硬くなった土にクワを突き立てて畑を耕す女性の姿もよく見かけた。
 
 
 
 
              
                
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                        | 田植えの合間に昼食をとる女たち。丸い弁当箱にご飯がぎっしり詰まっている。 |  |  |  
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                        | ミャンマー料理に欠かせないニンニクを川の水で踏み洗いする女たち |  |  |  
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                        | 砂利を入れたカゴを頭に乗せ、細い橋を渡って船に積み込む。力仕事の現場にも女性の姿が目立っていた。 |  |  |  
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 マンダレー郊外にあるレンガ工場でも、主に働いていたのは女性たちだった。
 ここはエーヤワディー川の水かさが減る乾季にだけ出現する「期間限定」の工場だった。雨季のあいだに堆積した粘土を掘り起こし、それを使ってレンガを作るわけだ。自然の力をうまく利用した工場なのである。
 
 
 
              
                
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                        | 川底にたまった粘土を掘り起こして、レンガの材料にする |  |  |  
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                  |  |  |  |  クワを使って土を掘り起こし、それを機械に入れて練ったものを木枠の型に入れて形を作る。出来上がった日干しレンガは日向に並べられ、乾燥が済むと薪と石炭を燃料にして窯で焼き固められるという仕組みだ。
 
 どの行程もかなり体力を使う力仕事なのだが、たくましいミャンマー女性は難なくこなしていた。
 
 
 
 
 
 
 女は働き、男は遊ぶ
 
 市場にも元気なミャンマー女性の姿が溢れていた。おばちゃんが豪快に肉をぶった切り、威勢よく声を張り上げて野菜を売り買いする。魚をさばくのも、タバコやコオンを売るのも、女たちの仕事だ。そこが隣国のインドやバングラデシュとはまったく違う点だった。
 
 
 
 
 インドでもバングラデシュでも市場の主役は男だった。というより、女性の姿をほとんど見かけなかった。売るのも買うのも男ばかり。それがミャンマーに入った途端、完全に逆転してしまうのだ。
 
 カメラを向けたときの反応も正反対だった。「おっさんの国」であるバングラデシュでは、男たちが非常にフレンドリーかつ強引で、「俺を撮れよ!」とうるさく声を掛けてくるのだが、「おばちゃんの国」であるミャンマーでは、男よりも女の方が陽気で、カメラに対しても鷹揚なのである。
 
 農作業も手仕事も力仕事も商売も、なんだってこなす女たちの隣で、ミャンマーの男たちはのんびりとタバコを吹かせたり、カフェでお茶を飲みながらトランプや将棋に興じたりしていた。仕事そっちのけでセパタクローやビリヤードに熱中している人も多かった。もちろん男がまったく働かないわけではないのだが、働いている時間よりは遊んでいる時間の方が長いように見えた。
 
 
 
 
              
                
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                        | セパタクローの試合でアクロバティックなアタックを決める。ミャンマーの男は遊びにはとても熱心だ。 |  |  |  
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 「男ってのはいざってときに働けばいい。日常の細々とした仕事は女に任せとけばいいんだ」
 という価値観は、ミャンマーだけでなくタイやベトナムなどの東南アジア諸国で広く共有されているものなのである。
 
 カフェでお茶を飲みながらのんびりと世間話をしている男たちに、
 「あんたたち、仕事はいつやるの?」
 と聞いたとしたら、きっとこんな答えが返ってくるはずだ。
 「今・・・・・・じゃないでしょ!」
 
 予備校教師的な人生訓など、この国の男たちには通用しないのである。
 
 
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