質問:仕事を辞めるときの不安
私は派遣社員として事務系の仕事に就いて3年のOLです。
はっきり言って、今やっている仕事は私が本当にやりたいことではありません。でもお給料も悪くないし、人間関係だってうまくいっているので、今すぐに辞めようという気にもなれません。
というか、やっぱり怖いんだと思います。仕事を辞めて自分一人でやっていく自信がないし、失業保険だってそんなにもらえないし、親だって心配するし・・・・・そんなことをばかり考えていると、いつか自分のやりたいことをやろうという気持ちすら、萎えていってしまいます。
三井さんは思いきって会社を辞めて、写真家として出発されていますが、私が感じているような不安はなかったのでしょうか。もしあったとしたら、それとどのように向き合ってこられたのですか?
なんか漠然とした質問ですが、よろしくお願いします。
三井の答え
もちろん僕にだって不安はありました。特に会社を辞めた直後は、自分に何ができるのかさっぱりわからなかったから、不安も大きかったと思います。
今だって、来年の自分がどこで何をしているのか、はっきりとしたことはわかりません。本が売れなかったら仕事が途絶えるかもしれない。
でも、僕にとっては「先の見えない不安」よりも「先が見えない楽しみ」の方がずっと大きなものなのです。心の底では「でも何とかなる」と信じているのです。根拠はありません。勘というか、信念というか、そういうものです。
今年の初めにインドネシアのスマトラ島をバイクで旅していたときに、アチェ州のジャングルの奥深くの悪路をずっと走り続けなくちゃいけないことがありました。ひどい雨に襲われてずぶ濡れだし、日は暮れて真っ暗になるし、悪夢のようなコンディションの道を延々と走らなくてはいけなかった。すれ違う車もないし、人家すら見当たらない。このときぐらい心細い思いをしたことはありません。
だけど、その時に僕の口をついて出たのは、ボビー・マクファーリンの「ドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」のメロディーだったのです。口笛混じりのお気楽な曲。「いまさら心配したってしょうがないじゃん」という楽天的な自分が、それを歌い始めたのです。
これには自分でも驚きました。今、とても困った状況にある。体力的にも限界だ。でも、もう一人の自分がその状況を楽しんでいるということが、ありありとわかったのです。
不安を楽しみましょう。楽しめないにしても、肯定的に捉えてみましょう。
会社を辞めて仕事が見つからなくても、今の日本なら死ぬことはありません。何とかなります。ドント・ウォーリーで行きましょう。
僕は無責任にも、そう言い切ってしまいます。