インドを旅していると「絶対、只者じゃないな」と感じる人に出会う。西部グジャラート州で出会ったサドゥーもそんな一人だった。長く伸ばした髪の毛を縄で縛り、首には数珠をたくさんぶら下げ、安い葉巻タバコを片手に泰然とした様子で座っていた。人生の真理を語り出しそうだった。
サドゥーは特にインドらしい謎めいた存在だ。仕事も家族も捨て、遊行の旅をしているサドゥーたちは、普通の価値観を逸脱したような遠い目をしている。
どのように年を重ねて、この風貌にたどり着いたのだろう。きっと生き方そのものが外見ににじみ出ているのだ。
インドの市場で野菜を売る老人の目力がすごかった。「老いてもなお創作意欲が衰えない芸術家」みたいな雰囲気を漂わせているが、実際はただの八百屋さんである。やはりインドは奥が深い。
インド西部グジャラート州で出会った男も「絶対、只者じゃないな」と思わせるような独特の存在感を放っていた。うつろな目でタバコを吸う姿が、往年の名優・勝新太郎みたいだった。
南部タミルナドゥ州の農村では、髪型も胸毛もボリュームたっぷりの独特すぎる風貌の男に出会った。自然のままに、あるがままに生きているようにも見えた。
インド南東部オリッサ州で出会った老人。標高900mの高地では朝晩は結構冷え込むので、服の上から毛布を巻き付けて防寒着にしている人をよく見かける。大きく傾いた西日が笑顔を照らし出していた。
ただ単に無頓着なのか、それともオシャレなのか、よくわからないユニークな髪型とヒゲ型の男が、杖を握りしめてじっとこちらを見つめていた。
街角で安いタバコ・ビリーを吹かしている、ただそれだけなのに、実にカッコいい男。こんな風に年を重ねられたらいいな。
自転車のパンク修理をしている男も只者ではない雰囲気だった。おそらく同じ仕事を何十年も続けているのだろう。黒く汚れた手と無造作に伸びたヒゲが、独特の雰囲気を醸し出していた。
なぜこの人がターミネーター風のサングラスを選んだのかは謎だが、このアイテムひとつでただならぬ雰囲気が倍増するのがわかる。インパクト強いなぁ。
インド北部ビハール州で出会った男。僕の勝手な想像だけど、2500年前に生きたゴータマ・ブッダって、こんなお顔だったんじゃないかと思う。