インド料理といえばスパイシーな激辛料理のイメージが強いですが、実際にインドの(特に庶民向きの安い)食堂で出される料理の多くは、日本人の舌には合わないほど大量のトウガラシを使っています。それでもまぁ「舌が慣れる」といいますか、何ヶ月もインドにいると、ホットな辛さに対する受容体が麻痺してくるらしく、決して激辛が得意ではなかった僕でも、日本のレストランの激辛料理を普通に食べられるようになってしまったのでした。
インドの幹線道路沿いにあるトラック運転手たちのための食堂。厨房では、ランニングシャツ姿のいかついオヤジさんが、マサラを効かせた刺激的な料理を作っている。この種の食堂では「激辛」以外の選択肢はない。舌が痺れるほど大量にトウガラシを使うのが基本なのだ。
インド南部アンドラプラデシュ州の安食堂の厨房。立派な口ひげを生やした料理人が、野菜とスパイスがたっぷり入ったソースを煮込んでいる。ライスにかけてもいいし、ロティ(チャパティ)につけても美味だ。
インドの代表的な米料理「ビリヤニ」を作っている男たち。ビリヤニは大きな鍋にお米と各種のスパイス類、チキンやマトンなどの具材を入れて密封し、弱火で長時間加熱して作る。これだけ巨大な鍋だと、一度に百人分は作れそうだ。
インド南部アンドラプラデシュ州で、巨大な鍋を使ってビリヤニ用のご飯を炊く男。一度に数百人分のご飯が炊けるこのような大鍋は、結婚式など一度に数百人分のご飯を用意するときには大変便利だ。それにしても豪快な炊き方。炎と格闘しているようにも見える。
インド北部ウッタルプラデシュ州にあるムスリムの街でビーフ・ビリヤーニを食べる。ヒンドゥー教徒が多数派を占めるインドでは、大っぴらに牛肉を出す店は少ないが、ムスリムだけが集まって住む旧市街にはビーフを出す店もある。過剰なスパイスに頼ることなく、肉の旨みがご飯に染み込んでいて絶品だった。一皿30ルピー(45円)と激安なのも嬉しい。
インド北部ウッタルプラデシュ州で、ケバブを焼く男。スパイスで味付けした羊の挽肉を鉄串に巻いて炭火であぶるシークケバブは、北インドの伝統料理だ。肉食の禁忌が強いヒンドゥー教徒はあまり食べないが、ムスリムの多い旧市街ではよく見かける。肉の焦げる香ばしいにおいが食欲を刺激する。
インドでもムスリムが多く住む地域で食べられているのがシャワルマという料理だ。羊肉や鶏肉を串に刺し、回転させながらグリルで焼いたものをナイフでそぎ落とし、パンにはさんで食べる。シャワルマはトルコのドネルケバブのアラビア語圏での呼び名で、インドでもファストフードとして普及し始めている。
南インドの軽食・ドーサを焼いている女性。ドーサは米と豆に水を吸わせてすり潰し、発酵させた生地を、熱した鉄板で薄く伸ばして、クレープのように焼く料理だ。ドーサは薄ければ薄いほど美味い、というのが僕の持論。パリパリに焼いたプレーンドーサを、ココナッツ・チャツネにつけて食べるのは最高だ。
南インドの軽食・ドーサは、米と豆をすり潰して発酵させて生地をクレープのように焼く料理で、さまざまなバリエーションがある。ドーサに卵を落としたエッグ・ドーサは、ドーサ独特のパリパリ感は失われるものの、腹持ちがよくなりスナックというより食事っぽさが増す。作り方もカッコいいですね。
もちろんインドは毎日が「カレーの日」。南インドの定食「ミールス」は、バナナの葉をお皿にするのが定番。2,3種類の野菜カレーと、酸味の効いたサンバルスープをご飯にかけて、手でかき混ぜて食べます。ライスもカレーもおかわり自由なので、食べ過ぎないように注意が必要です。