笑顔はきっと世界をつなぐ

 僕にとって5冊目となる著作「スマイルプラネット」が間もなく発売されます。
 かけがえのない「笑顔の星」へのメッセージがつまった一冊です。ぜひご覧ください。(すでに絶版になりました)
 
 「スマイルプラネット」 三井昌志
 発行:パロル舎 本体価格:1800円
 B5判変型 オールカラー 100頁
 



 この世界にたったひとつしかない、とびきりの笑顔を探して、ぼくは旅に出た。それは長い長い旅だった…。
 
 幸せってなんだろう?
 笑顔ってなんだろう?
 そう問いかけながら、ぼくは歩き続けた。
 実り豊かな村や、争いが続く国や、雨が降り続く土地を。
 
 

「スマイルプラネット」に込めたメッセージ

 今、テレビや新聞にはネガティブなニュースが溢れています。
 物価の高騰、景気の後退、食品の偽装、動機なき殺人。最近は政治不信も加わりました。不安を煽り立てるトピックには事欠かない状況です。
 どれも報道する価値のあるものなのでしょう。あるいは視聴者がそういう情報を求めているから、報道しているのかもしれません。善か悪か、加害者か被害者か、安心か不安か、それがはっきりしないようなトピックは、人々の関心を呼ばないのかもしれません。

 でも、そういうネガティブなニュースを浴び続けていると、僕は心底うんざりした気持ちになるのです。日本中が必死になって誰かを叩こうとしている、「悪者さがし」をしているように見えるのです。首尾良く「悪者」が見つかると、そいつを叩いて叩いて、叩くのに飽きまで叩き続ける。そして次のターゲットをさがす。
 今の日本は「不安」を燃料にして動き続ける「不安駆動型社会」になっているように思うのです。



 実際には、日本は世界でもトップレベルの安全な国です。(世間のイメージと違って)青少年の犯罪率もとても低いし、(問題が噴出しているけれど)年金制度だってまだ機能しています。戦争もテロもないし、自然災害に対しても強い。

 逆に、とても安全な国になったからこそ、些細な不安や小さなほころびが許容できなくなっているのではないか。僕にはそう感じられるのです。何度も何度も手洗いをしなければ落ち着かない強迫神経症の人のように、少しでも不安の種があるとそれを取り除かずにはいられなくなっているのではないか。

 アジアに目を転じてみると、日本のように何もかもが手際よく整った安全な国はまずありません。特に僕が旅をする国々――カンボジアやバングラデシュや東ティモールやネパールなど――は衛生面でも、経済面でも、教育の面でも、劣悪と言ってもいいところばかりです。戦争や貧困といった命を脅かす危険と隣り合わせの国もある。



 でも、どうしてだろう。
 そういう国の人々の目は、どうしようもなくキラキラと輝いているんですね。
 何が違うんでしょうか?
 僕らに何かが不足しているのか。あるいは何かが「過剰」なのでしょうか。
 僕には偉そうなことは言えません。世界から貧困をなくすために、あるいは環境問題を解決するために、画期的なアイデアを提示できるわけでもない。
 僕に言えるのは、「ものを見る角度をちょっとだけ変えてみようよ」ということだけです。



 不安にばかり目を向けていれば、どんな些細なことにも不安を感じるようになる。
 でも、ものごとのポジティブな面に目を向ければ、きっと世界は違って見えてくる。
 何もしないでも、ただそこにいるだけで輝いているものがある。
 それに目を向けるだけで、生きることが楽しくなるじゃないか。

 僕は写真集「スマイルプラネット」にそんなポジティブなメッセージを込めたつもりです。