india22-10544インド北部の辺境・ザンスカールの麦畑で収穫を手伝っていた少女。はにかんだ笑顔と三つ編みが「初恋のきた道」のチャン・ツィイーのようだった。

 

9月25日。今日はラダック全域で雨。リンシェ村でも夜から雨が激しく降り続いています。問題は標高5000mの峠で雨が雪に変わること。積雪がひどいと、バイクで通行が不可能になり、レーに戻れなくなってしまう。しかし山の天気は予測困難なので、ホームステイ先でお茶でも飲んで、天気の回復を待つだけなのです。

ちなみに「ホームステイ」というのは、ラダック地方全域に広まっている民泊のスタイルで、普通の民家にお金を払って泊めてもらえるシステムです。だいたい1泊2食付きで1000ルピー(1800円)。ガチの農家のお部屋の場合もあれば、民泊用にきれいな個室を用意している場合もあります。

 

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今日は日中ずっと気温2度の予報。ううっ寒い。村を取り囲む山の頂は真っ白く雪化粧しているけど、村はまだ雨。このまま雪が降らないで欲しいなぁ、神様。

やはり昨日の雪の影響で、リンシェからレーに向かう道が通れない様子。今情報を集めていますが、この辺境の村で雪に閉じ込められて身動きできない可能性も。うーん、困った。明日の朝にどうするか決断します。

 

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一昨日に降った雪の影響で、リンシェ村に閉じ込められています。リンシェには3年前に開通したラマユルへの道と、2年前に開通したパドゥムへの道で、外部と繋がっているのですが、この二つとも降雪と川の増水によって通行できなくなっているのです。悩んだ末に、日本への帰国を遅らせることにしました。

幸いにして、昨日も今日も天気は非常に良くて、道路の状況は日々良くなっているようです。路面が渇き、落石などが片付いたあとに、シンゲラ峠を越えるのが、ベストの選択肢だと判断しました。

旅の最後に思わぬトラブルが待っていたわけですが、地元の人も驚く季節外れの大雨&降雪なので、「これも天の思し召し」と諦めるしかありません。ラダック滞在が延びたことをポジティブに捉えて、この間に1枚でも多くの写真が撮れたらいいな。今はそう考えて、村を歩いています。

 

india22-34694ラダックを旅していると、大自然に試されているような気持ちになる。「この風景を切り取ってみろよ」と問いかけられているようだ。だから僕は文字通り足を棒のようにして歩き回っている。この雄大な自然と人の営みとの美しい接点を求めて、ひたすら歩き回っている。

 

india22-322079月29日。今日、リンシェ村を離れて、レーに向かいます。雪が積もって通れなくなった標高5000mのシンゲラ峠も、この3日間で路面状態が回復しつつある模様。おそらくバイクでも走行可能だと思います。ラダック旅最後のハードル。無事に越えてきます!

 

india22-37061なんとか無事に、シンゲラ峠を越えてラマユルに到着。しかし標高5000mのシンゲラ峠は今日になって再び雪が積もり始め、ご覧のような銀世界。正直「ここをバイクで走るのは無理だ」と思いました。悪戦苦闘の末、ラマユルに辿り着けたのが奇跡みたいに思います。とにかく、なんとか、走りきりました。

峠はとにかく寒かった。どれぐらい寒いかというと、GoProに「バッテリーの温度が低すぎて撮影できません」というメッセージが出るほど寒かった。ライダージャケットじゃないし、手袋も普通のだし、何から何まで「雪山を越える仕様」じゃないのに、雪道を走る羽目になってしまったのです。あぁ・・・。

もちろん、出発前にこの状況がわかっていれば、ここをバイクで走ろうとは絶対に思わなかったでしょう。標高4500m以下の下界は晴れ。雨の兆候すらなかったのに、峠の周辺だけが盛大に雪が降っている。この展開はまったく予想外でした。やっぱり5000mは怖い。甘く見るとひどい目に遭います。

 


インド北部ラダック地方にある標高5000mのシンゲラ峠。正直、この完全な雪道をバイクで走るのは不可能だと思った。でも今さら引き返せない(雪はどんどん強くなる)から、前に進む以外選択肢はなかった。ブレーキを使ったらタイヤが滑って転ぶし、クラッチをつなぎすぎたらタイヤが滑って転ぶ。歩くよりも遅いスピードで、そろりそろりと前進する他なかった

 

india22-37080バイクは開放的な乗り物だけに、気候の変化に弱い。雨や雪に弱いし、暑さにも、寒さにも、突風にも、砂嵐にも弱い。昨日走ったシンゲラ峠の雪道では、改めてバイクの弱点を思い知りました。 それでも僕らはバイクに乗る。圧倒的に自由だから。風を感じられるから。自然と一体になれるから。

 

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インド版「お台場ガンダム」をラダックで発見!インド陸軍の車両から出た廃品を再利用した「エコなロボットが地球の未来を守る」みたいなコンセプトで作られたモニュメント。身長は7m。まぁまぁ巨大です。

ちなみに、この巨大ロボは2022年5月にレーの「ロボット・パーク」に出現しました。案内板によれば、ガンダムではなくて、トランスフォーマーが元デザインなんだとか。一応、子供が遊べる遊具も備えた公園ですが、子供の姿はまったく見かけませんでした。

 

india22-374559月30日。レンタルバイク屋にバイクを返却。3週間、共にラダックの大地を駆け回った相棒とも、これでお別れだ。店主から「致命的なトラブルが起きなくてよかったな」と言われた。確かに致命的なトラブルは起きなかったけど、マイナートラブルはたくさんあった。でも、それが旅だもんね。お疲れさん、相棒。

 

india22-3023610月1日。これから飛行機でレーからデリーへ。そして今夜デリーから成田に飛びます。長い移動日です。 さようならラダック。大自然の美しさと厳しさを教えられた1ヶ月の旅でした。また必ず戻ってきます。ジュレー!

 

india22-25889やっぱり旅はよかった。息を飲む絶景も、圧倒的な自由も、驚くほど親切な人々も、突然のトラブルも、旅先で経験する何もかもが、細胞に新鮮な刺激を与えてくれた。2年間凍結されていた旅人としての本能を呼び覚ましてくれた。これからも旅人として生きていこう。心からそう思えるような旅になった。