インドは「甘党の国」である。町で売られているお菓子はたいてい激甘で、カロリーも高い。
そもそも砂糖はインドで発明され、世界に広まったものだ。サトウキビの搾り汁を煮詰めて糖蜜をつくる方法は、今から二千年あまり前のインドで最初に発見されたと言われているし、砂糖を精製し、結晶化させる方法を発明したのもインド人だった。歴史的に見ても、インド人が筋金入りの甘党なのは当然なのだ。
インドの伝統菓子ジャレビを作る男。ジャレビは小麦粉の生地を油で揚げたあとに甘いシロップに漬けて作るスイーツ。数あるインドの激甘スイーツの中でも1,2を争うほど甘いのが特徴だ。それを作る職人の渋イケメンぶりも実にインドらしいですね。
こちらは「世界一甘いお菓子」として知られるグラブ・ジャムン。小麦粉と砂糖と牛乳を混ぜた丸い生地を油で揚げた後シロップにつけ込んだ、インドでお馴染みの激甘スイーツだ。何をもって「世界一」なのかは謎だが、シロップの甘さが尋常でないことは確か。インドに「甘さひかえ目」という概念は存在しないのだ。
インドの伝統菓子「パタサ」を作る職人。沸騰させたザラメに重曹を加え、丸い形に落として固めたシンプルなお菓子だ。長年、この仕事を続けているベテラン職人の手さばきは、洗練されていて美しかった。どんなところにでも渋イケメンがいる。それがインドという国だ。
インドの街角でラッドゥを売る男。ラッドゥはひよこ豆の粉とギーと砂糖で作った甘いお菓子だが、店主はなぜか睨むような厳しい顔をしていた。写真を撮った後、礼を言って去ろうとすると、「待てよ!」と呼び止められたので振り返ると、店主はラッドゥをひとつかみ渡してくれた。実は親切な人だった。
インド南部タミルナドゥ州の街角で、綿菓子を売り歩く行商人。ふわふわの綿菓子はインドの子供たちにも人気だ。何しろ軽いので、これだけ大量に運んでも苦にならないのから、行商人向きだ。
インド北西部ラジャスタン州でつくられている郷土菓子「ティルパティ」は、水飴で固めたゴマを薄く伸ばしてせんべい状にしたスイーツ。香ばしいゴマの風味が口いっぱいに広がる逸品だ。
インド北西部ラジャスタン州のローカル・スイーツ「ゲワル」を作る男。小麦粉に牛乳を加えたゆるい生地を、熱した油に直接投入すると、網目状に揚がる。鳥の巣のような形もユニークだが、作っている職人の風貌も独特だった。無駄にカッコいい男、まさに渋イケメンの鑑である。
僕がこれまでインドで口にした中で、一番奇妙な食べ物が「冷凍トマト」だ。コチコチに凍らせたトマトを輪切りにして、マサラ粉と塩を振りかけ、さらにかき氷シロップをかける、という斬新すぎるスイーツだ。インド人の間でも賛否両論分かれているこの冷凍トマト。味を確かめたい人はグジャラート州へGO!