インドの街を目的もなく、ぶらぶらと歩いていると、いつの間にか薄暗い路地裏に迷い込んでいる。肉屋があり、八百屋があり、製粉所があり、板金工場がある。生活のにおいが濃厚に漂っている界隈だ。
 僕がカメラを向ける男たちは、何か特別な仕事をしているってわけではない。自分に与えられた役割を淡々とこなしながら、日々を生きている人々だ。
 当たり前のことを当たり前にしているだけなのに、どうして彼らはこんなにもカッコいいのだろう。その理由を考えながら、僕はシャッターを切っている。

 

india18-13466インド南部の都市チェンナイの食堂で、揚げ物をつくる男。部屋の隅のガスコンロで魚を揚げている男を、窓から差し込む光が照らしていた。

 

india18-23734アンドラプラデシュ州にある板金工場で鉄板を溶接する場面。遮光のためのサングラスをかけた溶接工の顔を、青白い火花が照らし出していた。

 

india18-49342インド西部グジャラート州にあるサリーの染色工場で働く男。様々な柄がデザインされたスクリーンを使って、サリーをカラフルに彩る。機械化も進んでいるが、職人たちの手作業も廃れてはいない。

 

india18-48450グジャラート州の製粉所で店番をする老人。テーブルの上に足を投げ出してリラックスした様子だが、逆にこの姿勢を維持する方が疲れるんじゃないかと思う。「どうせ客なんて滅多に来ねぇんだからよ」というアバウトな勤務態度が、実にインド的で良かった。

 

india18-69995インドでポピュラーなお菓子「ラドゥー」を売る男。ベサンという豆の粉を使っているので、日本人にもどこか懐かしい味がする。人気スイーツを売る店の主人がなぜこんなにも渋い面なのか。それは謎である。

 

india18-13838南部の都市チェンナイの街角で、ブリキの板を曲げてトレイを作る男たち。息の合ったベテランコンビが、万力のようなハンドル式の機械を使って、黙々と仕事をこなしていた。

 

india18-15075工場の片隅で、アルミ製の水瓶を作っている男がいた。金槌で叩くことで、アルミをより強く鍛えているようだ。

 

india18-14611インド南部タミルナドゥ州で出会った肉屋の男。大きな包丁をヤスリ棒でガシガシ研いでから、鶏肉をさばいていく。タミルナドゥは比較的肉食に寛容で、街のあちこちに肉屋がある。

 

india18-46098インドの町にコンビニが一軒あれば、こうした狭い雑貨屋の20軒ぐらいは潰れてしまうだろう。逆に言えば、コンビニやスーパーが少ないから、個人商店主の仕事が奪われないで済んでいる。だいたいみんな暇そうにしてるけど、なんか楽しそうに生きている。それがインド流「ワークシェア」だ。

 

india18-46142グジャラート州の市場でトマトを売る男。地元でとれた新鮮な野菜を扱う市場は、いつも人でごった返している。なんて鮮やかな赤!