インド北部ウッタルプラデシュ州では、牛糞燃料を作る女性の姿をよく見かけた。地元で「ゴハリ」と呼ばれる牛糞燃料は、牛の糞とワラを混ぜたものを手でこね、天日で乾燥させて作る。牛糞は煙が少なく、ゆっくり燃えるので、質の高い燃料として重宝されている。
インドの農村に住む人々にとって、牛の糞は汚くないどころか、利用価値の高い「資源」だ。マハラシュトラ州の農村で出会った少女は、家の床を牛糞で拭いていた。牛糞を使うと、埃が立ちにくい丈夫な床になるのだそうだ。牛糞はエコフレンドリーでサステイナブルな建材なのだ。
インド西部グジャラート州にある牧場には、数百頭の牛が集められていた。運ばれてきた牧草を黙々と食べる牛たちの横で、女たちが牛糞を集めている。牛は毎日ミルクを出すだけではなく、燃料になる糞も生み出してくれる農村経済の要とも言える存在だ。
農村に住む人々にとって牛糞は汚いものではないが、牛糞燃料を作るのは女性の役割と決められている。インドでは、男女の役割がはっきりと分かれているのだ。
インド北西部ラジャスタン州で出会った少女が運んでいたのは山羊の糞だった。飼われている山羊の糞を集めて、肥料にするために畑に運ぶのが毎朝の日課だという。牛と同様、山羊もインドの農村には欠かせない家畜だ。
インド北部ウッタルプラデシュ州の農村で出会った女性。手作り感たっぷりのふるいを使って、雑穀の選別を行っていた。色鮮やかなサリーが強い日差しを浴びてまぶしく輝いていた。
色鮮やかなサリーを着た女たちが、緑一色の小麦畑で雑草を刈っていた。日常の労働の場面でも美しく着飾るのがインドのスタイルだ。
インド中部マハラシュトラ州でイチゴの栽培をしている女性。標高が高く、一日の寒暖差が大きいこの地域では、最近イチゴの栽培を始める農家が増えているという。農家のおばさんは「ほら持って行けよ」と摘んだばかりのイチゴをくれた。甘くて美味しかった。
インド北部ウッタルプラデシュ州の織物工場で働く女性たち。薄暗い工場の中で、サリーを織るための糸を巨大な糸巻きに巻き付けている仕事をしていた。
ガンジス川で洗濯をする女性。平べったい洗濯石に洗濯物をバンバンと打ちつけるのが、インドの伝統的な洗濯法だ。生地が傷むのは早そうだが、汚れは落ちるのだろう。