73.草原の朝 (モンゴル)
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 草原と空と雲。
 モンゴルの首都ウランバートルから、500kmジープに揺られても、それしか見えなかった。時々馬や羊の群れを見かけるが、人の姿を見ることはなかった。
 シンプルで力強い世界。そのようなモンゴルの大草原で暮らす遊牧民の家族と一夜を共にした。遊牧民はゲルという移動式住居で暮らしている。馬の乳を飲み、羊の肉を食べ、牛の乳からチーズを作る。
 隣のゲルまで約2km。もちろん電気はなく、トイレさえない。
 この家族を束ねているのは最年長のおばあさん。深い皺が刻まれた顔が、朝日を受けて輝いていた。