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インドは色にあふれた国だ。
微妙なグラデーションではなく、絵の具のチューブから直接ひねり出したようなビビッドな原色が、次から次へと目に飛び込んでくるのだ。
地域によってテーマカラーが違うのも、インドの面白さだ。
たとえばアンドラプラデシュ州は「黄色い州」だった。公共バスも黄色だし、町を走るオートリキシャもすべて黄色で統一されているのだ。
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アンドラプラデシュ州で高いシェアを誇る携帯キャリア「idea」のシンボルカラーも黄色だった。 |
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タミルナドゥ州西部には、どの家の壁も明るいスカイブルーに塗られた町があった。なぜこの町がこれほど派手な色で統一されているのかはよくわからなかったが、この鮮やかな青が南国の強い日差しによく映えているのは確かだった。歩いているだけで、浮き立った気持ちになってくる。色あせた壁を塗り直すペンキ屋の仕事ぶりも、どこか楽しげだった。
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インド有数の石灰岩の産地として知られているラジャスタン州ピパールは「白い町」だった。ここには石灰岩を砕いて石灰(炭酸カルシウム)の粉を作る工場がいくつも並んでいたのである。
石灰工場の中は、純白の世界だった。建物の内部も、据えられた大がかりな機械も、もちろんそこで働く人々も、すべてが石灰の粉にまみれて真っ白になっていたのだ。労働者たちは顔に布を巻き付けてはいたが、専用の防塵マスクではないから、空気中を舞う粉の一部は気管にも入り込むはずだ。
彼らにとってこの純白の世界は、過酷な労働の現場以外のなにものでもないだろう。とても「美しい」だなんて思えないはずだ。それをわかっていながらも、僕はこの白の美しさに強く惹かれていた。
それは静謐なモノトーンの世界だった。色に満ちた外の世界とは正反対の、すべての色を消し去る、圧倒的なまでの白だった。
この白もまた、僕にとってとても印象的な「インド色」のひとつだったのである。
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こちらも真っ白な世界。小麦粉の製粉工場である。どの町にも必ずひとつはあるが、ここは特に粉だらけだった。 |
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