質問:好きなことが見つからない私
はじめまして。いろいろなサイトを検索していくうちにこちらのサイトを拝見し、こんな質問でもいいのかと思いながら、メールさせていただきます。旅にはぜんぜん関係ないのですが・・・
現在29歳の(女性)なのですが、自分の本当にしたいことがわからなくてあせっています・・・
周りの友人はほとんど結婚し、家庭をもつ年頃ですが、それもうまくいかず、日々毎日をだらだらすごしてしまっています。
友人や親などからは、「自分の好きなことをすればいいんだ」、と口をそろえていわれ、いろいろな本などにもそうゆう風に書かれています。
が、その好きなこと自体わからないどうしようもない状況です。いろいろ自分の興味のあるスクールに参加して(写真もそのひとつです)自分の好きなことを見つけようとするのですが、どれかひとつに絞りきることができません・・・・
三井さんが会社を退社したあと、写真を撮ることを選択されたのは何かきっかけがあったのでしょうか?
なんだか人生相談みたいなんですけど、ご返信いただければ幸いです。
偶然みつけたサイトですが、写真をみていてなんだか元気がでました。今後もがんばってください。
三井の答え
まず、「29歳で独身で焦っている」ということですが、僕の周りには男女を問わず30歳を超えても独身で過ごしている人が多いので、それほど焦らなくてもいいのではないかと思いますよ。
まぁそうやってぼんやりとしていると、本当に婚期を逃してしまうのかもしれないけれど。でも、焦って結婚相手を見つけても、ろくな結果にならないんじゃないかなぁ。
さて、「好きなことが見つからない」「ひとつに絞りきれない」ということですが、今、あなたの興味が多方向に向いているのだとしたら、それをあえてひとつに絞ることはないのではないかというのが僕の意見です。焦る必要はありません。
結婚相手と同じで、本当に打ち込めることって、「早く見つけなきゃ」「今決めなきゃ」というプレッシャーの元で探すものではないように思います。興味のアンテナを広げていれば、必ず何かが引っかかってくるはずです。それまでじっと待つことも大切です。
僕の場合、会社を辞めた後すぐに「写真を撮ろう」と思ったわけではありません。旅に出る前には、「写真を専門的にやろう」なんて考えていなかったし、ましてや「写真家になろう」なんて気持ちは1%もなかった。せっかく長く旅をするんだから、その経験がその後の人生に生かせればいいとは思っていましたが、それが写真だとは思っていなかった。
しかし、今僕は写真家を名乗って活動しています。結局のところ、人生というのは偶然や成り行きによって、ずいぶん左右されるものなんですね。だから大切なのは、常に興味のアンテナを広げて、それに引っかかったものに対して、素直に反応することなんだと思います。
写真を撮るという行為には、自分が張っているアンテナの感度を上げてくれる効果があります。いつもなら、ただ漫然と見過ごしてしまう日常の様々なシーンも、カメラを持って歩ることによて細かく観察するようになる。写真って、様々な事物の中から自分の心が動かされるものにフレーミングする「選択の技法」なんですね。
写真を撮っていると、「あ、この光が好きだな」とか、「今の表情を残しておきたいな」という閃きを感じるようになります。自分が本当に好きなものが、無意識の領域から意識の上にのぼってくるのです。カメラというのは他者を記録する道具であると同時に、自分を知る道具でもあるんです。
そういう意味では、それを専門的にやるかどうかは別にしても、写真を撮ることはあなたの「好きなことを見つける」役に立つのではないかと思います。