オリッサ州から始まったインド一周の旅。オリッサ州の山村を訪ね歩いた後、南下してアンドラプラデシュ州を訪れた。

 

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 インドにはそこら中に牛がいるのだが、街角で写真を撮っているときに、そばにいた牛が突然放尿して、僕の足が濡れたことがあった。どうしても動けない場面だったので、足を避けることなく撮影を続行した。インドにいると、牛のウンチやオシッコがあんまり気にならなくなる。なにしろそこら中に落ちているから。これも「インド人化」の一段階なのかもしれない。

 しかしどうしても慣れることができないこともある。それが騒音だ。インドは「音ハラスメント」がひどい。今滞在している町にも毎朝5時半に超大音量でわけのわからない音楽が1時間以上流れる意味不明な習慣がある。その目的も効果もわからない。本当に腹が立つ。ハラスメントというのは「当事者はそれが被害を与えているとは思っていない」から起きるんだなぁ。

 インドの音ハラがひどいのはわかっていたので、今回は耳栓を持ってきた。アマゾンで買った米軍仕様とかいう耳栓。騒音は3分の1ぐらいに軽減。それでもうるさいが。インドの非観光地を旅される方には必須アイテムだ。

 1時間半続いたクソやかましい音楽が止まって、静かで穏やかな朝が始まる。この瞬間、他のインド人は何を考えているのだろう。「いい感じの音楽が終わって寂しいなぁ」か「うるさい音が止まってほっとした」なのか。おそらく99%の人は「何も感じない」のだろう。だから毎朝、音ハラは続くのだ。

 インド人の「鈍感力」「騒音耐性」が欲しい。旅をしていると、いつもそう思う。だってインド人はクソうるさい音楽やクラクションを「全然」気にしていないんだから。静かな環境でしかまともに思考できないのは、インドでは大きな弱点だ。こういうとき、自分がか弱き繊細な日本人であることを実感する。

 「騒音耐性」の次に欲しいインド人の能力は「足裏の強さ」だ。インドを旅していると裸足になる機会が多い(寺院・聖地は土足厳禁)が、熱く乾燥した地面を裸足で歩いていると、僕のヤワなかかとはすぐにひび割れてしまう。持参したオロナイン軟膏を塗り込む毎日だ。

 

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 土足厳禁なのは寺院だけではない。実は農村でお米や雑穀を脱穀するときも靴を脱がなければいけない。穀物は人の口に入るものだから、汚い靴やサンダルで踏みつけてはダメ、ということらしい。事情を知らずに土足で撮影したら怒鳴られたことがある。浄・不浄の考え方はインド人にとって重要なのだ。

 

india18-05962農村にバイクを置いて、しばらく撮影してから戻ると、シートに謎の足跡が残されていた。このミステリー、名探偵ホームズでなくてもすぐに解けます。ワトソン君、犯人はニワトリだ!

 

india18-01816レゲエの神様ボブ・マーリーのTシャツを着たおじさんが家の壁のペンキ塗りをしていた。カメラを向けると楽しそうに踊り出した。インド人って意外にファンキーだ。

 

india18-01856笑顔を撮るのが得意だとは思わない。あえて言うなら「笑顔に出会える場所に行くのが得意」なのだと思う。オリッサ州の山村はそんな場所のひとつだ。村を歩けば、こんな笑顔に出会える。撮るのは難しくない。難しいのはこの村を見つけることの方だ。

 

 

最南部タミルナドゥ州へ

 ハイウェーを400km走って、タミルナドゥ州の州都チェンナイにやってきた。南インドを代表する大都市だが、下町の人々はやたらフレンドリーだ。若者が「この町にはグッドピープルしかいない」と断言する。しかいない、かどうかはともかく、とても気さくでいい人が多い街なのは確かだ。

 

india18-11599見た目はおっさんでも、中身は少年。それがインドの男だ。「おーい、俺たちの写真撮ってくれよ!」「いいよ」カメラを向けるとこのリアクションだ。ここまで楽しそうな笑顔って、日本じゃなかなか見られないよね。

 

india18-10575南インドと北インドの違いを強く感じるのが市場だ。南の市場は女性が多くて、陽気でたくましいおばちゃんたちが気軽に声を掛けてくる。北の市場は男たちが主体になる。

 

india18-11722パクチーを売る少年。日本はちょっとしたパクチーブームに沸いていますが、パクチー(コリアンダー)はインドでもよく食べられる食材。市場では一束20円ほどで売られています。

 

india18-12871チェンナイ旧市街の生活用水は、給水車が運んでくる。人々は給水車がやってくる時間になると水瓶を持ってきて並べ、それを家に持ち帰るのだ。プラスチック製の水瓶がやたらカラフルだ。

 

india18-10988チェンナイ旧市街にある小さな印刷所では、いまだに活版印刷機が現役で稼働していた。使い古した活字を組み、一枚一枚手差しで印刷しているのは貴金属店の紙袋。かすれ具合も味になるのだろう。

 

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