僕がバイク旅を始めたのは2005年から。以後十数年のあいだに世界各地の(オンボロ)バイクに乗ってきました。「できるだけ小型で、壊れてもすぐ修理してもらえる」というのが僕が求める条件です。ガイドブックに載っていない小さな町や村に行くための「自由な移動手段」として、バイクが最適だったのです。

 バイクにまたがって「さぁ今日はどこへ行こう」って思う。その感覚が大好きです。予定は何も決まっていない。右へ行くのも左に行くのも自分次第。自らの経験と嗅覚と、そして幸運を信じて進んでいくと、その先に必ず驚くべき光景や、素敵な人々との出会いが待ち受けているんです。

 

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 移動手段が写真を決める。僕はそう考えています。

 バイクに出会っていなかったら、僕の写真はずいぶん違ったものになっていたはずです。インドを8周することもなかったでしょう。僕は根っからのバイク愛好家ではないけど、旅の自由な移動手段としてのバイクの可能性は、誰よりも高く評価しています。

 

 あなたがもし旅に「自由」を求めるなら、バイクに乗ることをお勧めします。

 確かに事故の危険もあるし、天候にも大きく左右されるけど、それを補ってあまりあるユニークな経験が味わえるはずです。バイクほど人を自由にしてくれる移動手段は他にはありません。僕らはどこにでも行くことができるのです。

 

 

アジアの働くバイク

 

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india16-87493鶏を大量に載せたインドのバイク。インド人には「過積載」という概念があまりなくて、モノや人を載せられるだけ載せて走り回っている。鶏は新鮮さを保つために生きたまま足を縛った状態で運ぶのが普通だ。

 

my13-30918-2鶏を生きたままバイクで運ぶのは、インドだけでなく、ミャンマーの田舎でもよく見られる光景だ。伝統的な日焼け止めタナカを塗って麦わら帽を被った女性が、鶏をたくさんバイクに括りつけて運んでいる。うろこ雲と黄金のパゴダが見事だった。

 

ph06-3844フィリピンで見かけたのは、サイドカーに豚を乗せて走るバイク。街中で豚を飼う習慣があるフィリピンでは、食べ頃になった豚を、このような専用のサイドカーに乗せて市場まで運ぶ。豚の体型に合わせて作られた鉄柵も見事だ。

 

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インド北部ウッタルプラデシュ州で、バイクで山羊を運ぶ男たちを見かけた。インドで「マトン」と呼ばれているのは山羊肉で、羊肉よりもポピュラーな食材だ。よく見ると、後部座席の男が抱えている山羊だけでなく、バイクの両サイドにも袋に入れた山羊が吊されているようだ。

 

india16-28063バイクに乗るインドの山羊。「乗る」といっても、ただ座席の上に突っ立っているだけだが。山羊には「高くて狭い場所に登りたがる」という習性があって、それが古いカブのシートの上を居心地よく感じさせたのだろう。天敵に襲われないように崖の上で暮らしていた野生の本能が、つい出てしまったのだ。

 

 

india15-65360インドで見かけたまさかの光景がこちら。バイクを食べる山羊。山羊は粗食に耐える雑食動物なので、バイクの背もたれに使われている皮や木の板もバリバリと食べてしまうようだ。バイクの持ち主は大迷惑だろうけど。

 

ba16-08614「山羊は何でも食べてしまう」という話は本当だ。こちらはバングラデシュで選挙ポスターを勢いよく食べていた山羊。公職選挙法に違反していようが、そんなことはお構いなしに、山羊はお腹を満たすことに集中している。

 

india1202-8755バイクに売り物を満載して走る、インドの行商人。プラスチック製のバケツや水瓶などの日用品を売るために、村から村へと走り回るのが彼の仕事だ。これだけモノを積んでも、バランスを崩すことなく平然と走っていることに驚いてしまう。

 

india15-18575インドのバイクは働き者だ。70ccのモペット(原付バイク)にプロパンガスのタンクを4つも括りつけて配送するガス会社の男たちがいた。日本のように各家庭にガス管が来ていないインドでは、調理用のガスはこのようなタンクに詰めて配送するのが一般的だ。

 

india0703-0309インド人ライダーはヘルメットを被らない。近年、州都レベルの大都市では取り締まりが強化されて、みんな(渋々ながら)ヘルメットを被るようになったのだが、田舎ではいまだにノーヘルが基本だ。「ヘルメットを被れ、さもなくば罰金だ」という警察の警告看板の前でも、堂々とノーヘルを貫いている。

 

vi07-7385突然のスコールに見舞われても、ベトナム人はバイクを走らせ続ける。薄っぺらいビニールのカッパ一枚にどれほどの防水効果があるのかは不明だけど、そこに一家3人がすっぽり収まっているのが、実に東南アジアらしい光景だった。ちゃんとハンドル操作できるのか怪しい気もするが。

 

 

vi07-3697スコールが降った後の泥んこ道をスーパーカブ二人乗りで走るベトナムの男たち。ベトナム北部の未舗装路は雨水を含むとスケートリンクのように滑りやすくなり、走破するには繊細なアクセル&ブレーキ操作が必要になる。僕は何度も転びそうになったが、地元民は余裕で走っていた。バランス感覚がすげぇ。

 

4806イランの羊飼いの男が乗っていたのはヤマハの400cc。使い込まれて古びた感じが素敵だった。「バイクに信頼性を求めるなら日本製が一番」という常識は、アジアで広く共有されている。日本人として誇らしく思う瞬間だ。

 

af04-6032アフガニスタンのバーミヤンで出会った家族。夫婦と娘二人の四人乗りで、山道を走っていた。全身をすっぽり覆う伝統衣装ブルカは、家族以外の男性から顔を隠すために多くのアフガン女性が着用しているものだが、土埃と紫外線から身を守る「防護服」としての役割も果たしているようだ。