標高4200mにある湖パンゴンツォにやってきた。塩分濃度が高く、水草も魚もほとんどいない湖は驚くほど透明度が高く、まるで珊瑚礁の海を見ているかのような鮮やかなターコイズブルーだ。国境警備上、船を出すことも泳ぐことも許されていないので、湖はいつも静寂に包まれている。

 

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india19-121081一瞬、「ここはスイスの湖畔か?」と思うような光景だが、ここもインド北部ラダック地方の湖パンゴンツォだ。太陽が雪山の向こうに沈み、湖畔が夕闇に包まれる頃、1羽の水鳥が静かに水面を横切っていった。こんなインドもあるんだ。

 

india19-121471インド北部ラダック地方にある湖・パンゴンツォのほとりで白馬が草を食べていた。青い湖面と純白の馬、そして黒い山肌の組み合わせが、幻想的な光景を作り出していた。

 

india19-120836レーからパンゴンツォに向かう道のりの途中、標高5360mのチャンラ峠を通る。標高5000mを超えると急激に気温が下がり、雪が舞い始めた。まるで真冬のような景色だが、本格的な冬の到来はまだまだ先だ。

 

india19-121178雲間から射し込む朝日が、聖なる湖パンゴンツォの水面をスポットライトのように照らす。水中から龍が浮かび上がってきそうな気配を感じる、神々しい光景だった。

 

india19-121183パンゴンツォの周囲を取り囲むようにそびえる雪山。ラダック地方では5000mを超える頂でない限り、山に名前は付けないという。山が多すぎて、いちいち名前なんて付けていられないのだ。だからたぶんこの山も、ただの「山」だ。

 

india19-121243標高4200mにある湖パンゴンツォのほとりにあるメラク村は、鮮やかに黄葉していた。麦の収穫はすでに終わり、これから村人たちは長い長い冬を迎える準備に入る。

 

india19-121987300頭ほどの山羊と羊の群れがパンゴンツォのほとりを歩いていた。ラダック地方で飼われているパシュミナ山羊の毛は、有名なパシュミナ織りの原料として珍重されている。しかし山羊飼いの数は年々減少しているという。若者の多くは現金収入を得られる仕事を求めて町に出て行ってしまうからだ。

 

india19-121346パンゴンツォのほとりにあるメラク村で泊まったホームステイ先のご主人は「アムチ」と呼ばれる伝統医の資格を持つお医者さんだ。アムチは脈を診るだけで体のあらゆる部分の不調が読み取れるという。

 

india19-121133パンゴンツォに泊まった夜、あまりにも星空が美しかったので星を撮ってみた。標高4200mの空気は澄み切っていて、光害もない。星は驚くほどたくさん写っていた。天の川が天空を横切っていた。