質問:講演会で心がけること

僕は約8カ月の旅を終えて、先日帰国しました。
近い内に報告会のようなことをしようと思っています。
そこで質問があります。
三井さんが、旅の報告会や人前で話される際に気をつけていることや、心がけていることはありますか?
もしありましたら、教えてもらいたいです。
 
 

三井の答え

 僕は講演会などで「上手く話そう」と思ったことはありません。どうせアナウンサーやお笑い芸人のように淀みなく話せるわけないんだから。背伸びしないで、自分がすでに身につけている言葉だけで、使い慣れた道具だけを使って話すように心がけています。昔から知っている友達に心を込めて話す。基本的にはそれと変わりません。
 
 つっかえても間違えてもいいから、とにかく「自分の言葉」で話すこと。そうすれば必ず相手に伝わります。それとは反対に、どこかから借りてきた言葉や、ステレオタイプな感想を口にしたら、どんなに上手に話せたとしても、聞いている人の心をつかむことはできません。大切なのは「自分が大好きなことを人前で話せる。それを聞いてもらえる」という喜びを素直にかみしめること。誰よりもまず自分が楽しんで話すことだと思います。
 
 あなたは8ヶ月の旅をした。決して短い時間ではありません。きっと普段の何倍も密度の濃い8ヶ月だったでしょう。イヤな経験もしただろうし、心躍るような光景もたくさん目にしたことでしょう。傷ついたり、喜んだり、落胆したり、ときめいたりもしたはずです。
 
 その経験の中で、何かがあなたの中で変わったはずです。そして旅を終えてもなお、変わらなかった部分もあるはずです。
 
 旅がどのように自分を変えたのか、または変えなかったのか。そこにフォーカスして話を進めていけば、あなただけの「物語」が自然と立ち上がってきます。一人の旅人の目を通した世界が、生き生きと動き出してきます。それが「自分の言葉」で話すということです。
 
 もちろん準備は入念にやらなくちゃいけません。あらかじめ時間をかけて言葉を選んでおけば、それがあなたの「持ち駒」となって必ず役に立ってくれるはずです。