質問:写真家に資格は必要?

世界をまわって風景を撮る写真家になりたい中学生です。
旅しながらまわって、発展途上国の人々の写真を撮って日本で集めた服などを現地で寄付もしたいです。寄付なども簡単にいってますが大変なのはわかっています。
気象予報士の資格を調べてみたらボランティア活動にも役立つと書いてあったので、発展途上国などでも役立つのかなと思ったので書きました。
写真家でもっていたほうがいい資格はありますか?
 
 

三井の答え

 写真家に資格は必要ありません。僕も(普通運転免許以外は)これといった資格を持っていません。写真について学校で学んだ経験もありません。
 
 「写真家」とは資格ではなく、ただの名乗りなのです。画家やミュージシャンに資格が要らないのと同じです。ですからあなたも「今日から私は写真家なのだ」と名乗れば、すぐにでも写真家になれるのです。周りの人がそれを認めるかどうかは、また別の問題です。
 
 気象予報士は国家資格です。一生懸命勉強して、気象を予報できる知識を身につけなければいけません。それほど簡単なことではないでしょう。しかし日本の気象予報士の資格が、外国で役に立つかどうかは知りません。たぶんあまり役に立たないんじゃないかな。
 
 写真家に必要なのは、資格ではありません。写真には他人が決めた「正解」はないからです。より正確に言えば「正解は無数にあって、その場その場に応じた正解を自力で見つけ出さなければいけない」ということになるでしょうか。「ここ試験に出ますよ」という部分にアンダーラインを引いて、それを丸暗記して穴埋め問題に答える、というわけにはいかないのです。
 
 カメラを構えてシャッターを切るとき、写真家は自らの感性に従っています。誰かが「今がシャッターチャンスですよ」と教えてくれるわけではないのです。自分の頭で考え、自分の感覚で感じたものを、カメラを通じて表現するのです。
 
 そもそも写真家というものは「資格」というシステムには馴染まないのです。むしろ資格という他人から与えられる枠組みの外に飛び出していかなければいけない。
 
 「ただひとつの正解」というものがない曖昧でリアルな世界で、自らが出題者となり、この世界のありように疑問を投げかけ、それに対する自分なりの答えを導き出す。大げさに言えば、写真家の仕事とはそのようなものです。
 
 「写真を撮ること」と「外国で援助やボランティア活動をすること」はまったく別の活動です。だからそのふたつは切り離して考えた方がいいでしょう。あなたが将来、発展途上国での援助活動に携わりたいのなら、その分野に多くの人材を輩出している大学に行くことを考えましょう。専門技能を身につけてから青年海外協力隊に応募するというのもひとつの方法です。
 
 中学生のあなたに今できることは、まずは英語を頑張ることでしょう。どのような分野に進むにせよ、外国で仕事をしたいのなら、英語ができるに越したことはありません。そして将来、一人で外国を旅するときに備えて、様々な知識を貪欲に吸収してください。