質問:病気になったらどうする?
旅の質問箱「長旅がつらくなるとき」では、「先のみえない不安」及び、「旅の終わり」をどうするのかという問題(最初の長旅時)についてご自身の体験を踏まえて分かり易く書いてあり、参考になりました。
また、以前の質問箱(8:健康維持について)と称して、旅人の健康の重要性、特に暑い地域での冷房の使い方の注意事項について、記述されていましたが、旅先で病気になった時のことはなかったかとおもいます。
さて、私の質問は、旅先での体調不良になった時の対応方法です。実は、8年前にインド旅行半ばで酷い下痢症状になってしまいました。始めは、軽い下痢、次に食べ物は受け付けなくなり、最後はベッドに横になるだけでした(持参した薬は効かず)。
現地ガイドの世話で、現地(ベナレス)医師に滞在ホテルまで往診して貰い、注射と投薬の治療を受けました。それでも、下痢は思うように回復しなかったので、旅行途中で帰国しました(一時はこれでお終い?かと心細くなりました)。幸いに、大きな伝染病でなかったので、帰国後約1週間休養でやっと体力が元に戻りました。
そこで、三井さんの長旅の経験者として、海外の旅先において、各種の病気や体調不良時の経験談や対策などを教えていただければ嬉しいです。
これからも、良い旅と「素顔のアジア」を期待しています。
三井の答え
僕も下痢にはよくなります。新しい国に入ると、いつも三日間ぐらいは便がゆるい状態が続きます。僕の場合、下痢の症状はいたって軽いので、「新しい環境に慣れるための通過儀礼なのだ」と思っています。もし症状が長引くようだったら、現地の薬局で薬を買って飲みます。それでたいていは治ります。
さて、旅の健康管理についてですが、これは一ヶ月を超える長旅をする人と、二週間程度の短期旅行をする人とでは全く違うというのが僕の意見です。
長くアジアを旅している人間には、不衛生な状態に対する免疫が自然とできてくるものなのです。だから滅多なことでは体調を崩さなくなる。僕はバングラデシュやインドなんかでも、食堂で出される水道水をわりと平気で飲んでしまいます。現地の人が大丈夫なんだったらいいだろう、という感じで。
もちろんこれは万人にお勧めできる態度ではありません。どのガイドブックを開いても、「絶対に、絶対に、生水は飲むな!」と書いてあります。そしてそれは正しい。インドでもベトナムでもカンボジアでもインドネシアでも、ボトル入りの水を携帯することが必須なのです。
しかしいくら水や食べ物に気を使っても、100%防ぐというのは不可能です。食器が不衛生な水で洗われているかもしれないし、生ものに火が通っていないかもしれない。結局、不衛生な国を旅する限りは、感染症の危険はなくなりません。それはロシアンルーレットのように、運が悪ければ「当たる」ものなのです。
結論としては、「長く旅をすれば免疫ができる」が、「短期旅行だと運に任せるしかない」ということです。全くアドバイスになっていなくて申し訳ありませんが、それが現実です。
体調を崩したらすみやかに現地の病院に行きましょう。信頼できる大きな病院で、英語か日本語が通じる医者に診てもらいましょう。
しかしまぁこんなことは、ガイドブックに書いてありますね。