質問:アジアの子供は歯並びがよい?
今回質問としてメールさせていただいたのは、この前「たびそら」のページの写真をぼんやりと眺めていて、ふとあることに気づいて、実際はどうなんだろうかとひとつ気になったからです。
それは、「歯並び」です。
写真の中の笑っている子どもたちの歯並びがとてもいい。
僕は現在学校教員をしていますが、矯正器具をつけている生徒が多いです。
僕自身も小学校時代は口の中に矯正器具を入れていました。
けれど、写真の中の子どもたちは、本当にきれいな歯をしています。
それは食べ物のせいなのか、乳歯だからなのか、それともたまたま僕が見た写真がそうだったのか、はっきりした結論を出すことなんて誰にもできないでしょうが、三井さんはどう考えられますか?
三井の答え
大変面白い質問ですね。
僕も歯に関しては素人ですから、これから書くことは、あくまでも僕が旅で感じた雑感と、それに基づく推測だと思ってお読みください。
おっしゃるように、僕が「たびそら」で公開している写真には、歯並びのよい子供が多く写っていると思います。
その理由は、質問メールにも列挙していただいてるように、ひとつではないと思います。
まず、「三井がカメラを向ける相手が、歯並びの悪い子よりもよい子の方が多かった」という可能性がありますね。これは否定できません。歯並びの善し悪しは笑顔の輝きを大きく左右しますから、やはり歯並びのよい子の方を優先して撮るということはあると思います。
虫歯の子は、アジアにもけっこういます。虫歯というものは砂糖を多く取るようになった社会にはびこるもののようですが、アジアだってそうした「食の近代化」の波に飲み込まれつつあるのです。
しかし「歯並び」に関しては、日本人よりもアジアの子供たちの方が良いという印象はあります。
その理由のひとつは、粗食にあると思います。さっきの「食の近代化」と矛盾した話かもしれないけれど、アジアの農村でごく普通に食べられている食品というのは、質素でかたいものが多いのです。
例えばネパールで一番のご馳走とされる山羊の肉にしても、だいたいは骨ごとぶった切ったものがそのままカレーの中に入っていて、何度も強く噛まなければ喉を通らないほどかたいものなのです。それだって、たまにしか食べられないご馳走なのです。
自然のありのままの恵み、つまりは粗食を食べることによって子供たちの顎が鍛えられ、それにともなって顎の骨ががっしりと成長し、歯並びがよくなるのではないかというのが僕の推測です。
日本でも、江戸時代の歴代の将軍なんかは、柔らかいものばかりを食べていたせいで庶民に比べて極端に顎が細くなっていたことが知られていますよね。
それじゃ、現代社会に生きる我々が歯並びをよくするためには、メジャーリーガーみたいに四六時中ガムをくちゃくちゃ噛んでいればいいのでしょうか?
そうかもしれないけれど、あれはあれで見ていてあまり気持ちのいいものではありませんね。