インドの女たちは、いつも色鮮やかなサリーを身に着けている。井戸に水を汲みに行くときも、森で薪をとりに行くときも、畑で収穫作業をしているときも。サリーは晴れ着であると同時に、普段着でもあるのだ。
サリーはとてもシンプルなファッションだ。長さ5mほどの長い布を体に巻き付けているだけ。しかし、その巻き方やブラウスとの組み合わせは多様で、そこには着る人の個性や地域性が強く反映されている。
どんな激しい動きをしても、サリーはゆったりと優美に女たちの体を包み込む。サリーは美しさだけでなく、機能性も備えているのだ。
インド南部オリッサ州の農村で働く人々。カラフルなサリーを身にまとった女性が、長い木の棒で雑穀を叩いて脱穀している。昔ながらの農作業には力が必要だ。
インド南部オリッサ州に住む少数民族女性が、籾殻の吹き分けを行う。脱穀した米を風にさらすと、軽い籾殻や藁は風に運ばれるが、米粒は直下に落ちるという原始的な方法だ。
インド南部オリッサ州の山村に住む少数民族(アディヴァシ)の女性。アディヴァシの女たちはサリーの着方も独特で、独自の言葉を話し、伝統的な暮らしを送っている。
収穫した雑穀を木の棒で叩いて脱穀する。すぐ後ろにいる鶏のエサになるようだ。
オリッサ州の山村で井戸から水を汲む女性。地下10mにたまっている水を、ポリバケツで作った簡易つるべを使って汲み上げている。
マハラシュトラ州の山間の村で水を汲む若い女性。上下水道が整っていないインドの農村では、水汲みは毎日欠かすことのできない重労働だ。
インド北部ラジャスタン州の村で出会った少女。共同井戸で汲んだ水をアルミの水瓶に入れて家まで運ぶ。二つも重ねたらかなりの重さになるが、慣れた様子でバランスを崩すこともなく歩いていく。
トウガラシを収穫する女性。インド南部アンドラプラデシュ州はトウガラシの栽培に適した地域だ。真っ赤に熟したトウガラシが、インドカレーの鮮烈な辛さを生み出す。
独特の民族衣装を着て、ひよこ豆の収穫作業を行うグジャラート州の女性。肉を食べない菜食主義者が多いインドでは、ひよこ豆はもっとも一般的なカレーの具のひとつだ。
ため池を掘りに行くラジャスタンの女性。工事に必要なもの(クワ、お弁当、コップ)をすべて金だらいに入れて、バランスよく頭に載せている。なんかカッコいいです。
金だらいはバッグ代わりだ。インド・マハラシュトラ州の女性が森で拾い集めた薪や農機具など、いろんなものを頭に載せて歩いている。背負ったりするより楽なようだ。