インドで被写体に困ることはない。街を歩けば、必ず魅力的な被写体に出会えるからだ。
 もちろん、いつも思い通りに撮れるわけではないし、露骨な警戒感を示す人も多い。でも「あなたを撮らせて欲しい」という意思を目の前の相手に伝えることができれば(それが言葉である必要はない)、たいていはうまく行く。アイコンタクトや身振り手振りなど、使えるものを総動員してコミュニケーションを図れば、何となく通じるものなのだ。
 相手の年齢や性別は関係ない。大切なのは「美しいあなたを撮りたい」という祈りにも似た気持ちと、相手への敬意だ。

 

india18-63627インド北部パンジャブ州で出会った若者の渋イケメンぶりが圧倒的。「バーフバリかよ!」と心の中で叫んでしまった。年を尋ねると二十歳だという。二十歳にして、この男っぷり。すごい。

 

india18-04222渋イケメンに年齢は関係ない。むしろ年を経るにつれて、渋さが増していく。インド南東部オリッサ州の農村で脱穀をしていた農夫は、驚くほど無駄のない肉体の持ち主だった。毎日の肉体労働によって作り上げられた首から肩にかけての筋肉の盛り上がりに目を奪われた。

 

india18-66164シク教徒の男は頭にターバンを巻き、ヒゲを長く伸ばしている。髪の毛もヒゲも「神から与えられたもの」なので切ってはならない、という戒律を守っているからだ。インド北部パンジャブ州の町工場で働く旋盤工の男も、敬虔なシク教徒だった。

 

india18-64344インド北部パンジャブ州の路上でゆで卵を売る男。頭にターバンを巻いたシク教徒の大柄な男は「卵と鶏肉がこの体を作ってくれたのさ」と言った。シク教徒は肉食と飲酒に関して比較的寛容で、パンジャブ州には肉や卵を売る店が多い。

 

india18-64370シク教徒らしくターバンを巻いてヒゲを生やしたリキシャ引きが、街角で客待ちをしていた。ただ座っているだけなのにカッコよく見えてしまうのは、いつも変わらない自分のスタイルを持っているからだろう。

 

india17-13556インド南部タミルナドゥ州の染色工場で働く男。化学染料で鮮やかな赤に染められた糸を担いで運び出す。この糸で織られた布地は中東やアフリカ諸国にも輸出されている。日差しの強いアフリカは、色彩感覚がインドに似ているという。

 

india18-00727市場で働く渋イケメン。ジャガイモが入った重い袋をトラックから積み下ろすのが彼の仕事だ。ちびたタバコをくわえた表情もカッコ良かった。

 

india18-03096インド南東部オリッサ州の山村で、織物に使う糸をよる男。田舎の村では、こうした伝統的な手作業があちこちで行われている。

 

india18-08132インド南東部オリッサ州で、線路脇の畑を耕している男がいた。彼の背後を通過しているのは、国営アルミ製造企業「NALCO」に原料のアルミナを運ぶ貨物列車だ。オリッサ州の山岳地帯は鉱物資源が豊富で、大規模な製鉄所やアルミ工場が建設されている。

 

india18-68647精緻な浮き彫りが施された真鍮の水瓶を作る職人。インド北部ウッタルプラデシュ州には金属加工の高い技術を持つ工房があり、装飾性の高い工芸品を作っている。