インドを旅していると、奇想天外な姿をした神様に出会うことがよくある。キリスト教やイスラム教などの一神教とは異なり、多神教のヒンドゥーでは神々はさまざまな形をとって現れるのだ。
中には「これって神様なの?」と首をひねりたくなるようなヘンな神像もある。手作り感たっぷりの地元の神様はとてもユニークで、見ていて飽きない。こうしたおおらかで懐の深いインド人の宗教観は、「ゆるキャラ」や「キモカワイイ」ものが街中にあふれる日本人のキャラ文化とも相通じるものがあると思う。
インパクトが強すぎるヒンドゥー教の祠。大きくあいた口の中にご本尊の神像がまつられているのだが、いったい誰がこんな奇抜なデザインを考えたんだろう。世界観が楳図かずお!
インド北西部ラジャスタン州で、神様として信仰されている木の幹がやたらかわいかった。地元の人によれば、この木にはベルジーというシヴァ神の一形態が宿っていて、200年以上前から神木としてまつられているという。見た目は神様というより、ゆるキャラに近い気もするけど。
この神木を10年後に訪ねてみると、見事にバージョンアップしていたので驚いた。表面の色が変わり、ヒゲも生え、シヴァ神の武器でもある三叉の槍も追加されて、威厳が増している。より神様感が強くなっている。僕は前の方がかわいくて好みだったけど。
インド北西部ラジャスタン州で見かけた神様の像。石や木を神様に見立てて崇める習慣はインド各地で見られるものだが、これはいったい何を何に見立てているのかすらわからない、ある種の不気味さを感じさせる神様だった。薄暗い祠の奥からこちらを見つめる二対の目。ちょっと怖いです。
インド南部タミルナドゥ州で祈りの対象になっていたのが巨大な黄金の足だった。巨大な神像の一部をトラックに乗せて、各地を巡回しているという。なぜ足だけなのかは不明だが、信者たちが順番待ちの列を作っているぐらいだから、御利益があるのだろう。
インド南部アンドラプラデシュ州の寺院にあった神様の像。ヒンドゥーの神々には常識を越えた異形の姿をしたものが多いが、これもかなり攻めている。頭が9個、腕は18本、そして腕から頭が生えたようなものを、楽器のように奏でている。
インド南部オリッサ州にある寺院に置かれた猿の神様ハヌマーンの像は、なぜか大事なところが丸出しだった。わざわざ露出させているのには、何らかの意味があるのだろう。すっとぼけた表情もいい感じだった。
インド南部オリッサ州には、女型の植木鉢と植木を信仰するというユニークな習慣がある。植木の手入れをし、毎朝プジャの儀式を行うのは女性たちの役割だ。オリッサには、ヒンドゥー教が支配的になる以前の土着信仰の影響を強く受けた独特の信仰が今も息づいている。
インドの街角には肖像画を売る専門店がある。ヒンドゥーの神々、聖人、政治家などなど。信仰心が篤いインド人は、このような肖像画を居間や玄関に掲げ、そこにお供え物をして、祈りを捧げるのだ。
インドの農家でよく見かける木の扉には、木々や鳥、神様などの伝統的な模様が描かれているのだが、なぜかそこにあの擬人化されたネズミキャラクターの姿が! ディズニーのアイコン力は、ヒンドゥーの神々とも肩を並べるほどの実力のようだ。