インド北部ラダック地方はおばあちゃんがやたら元気な土地だ。作物があまり育たないので食事も質素だし、僻地には医者もいないので医療も満足に受けられないが、それでも畑仕事を力強くこなしている老人が多い。
毎日のタフな暮らしを生き抜いてきた人々は、体が頑強なのだろう。厳しい風土が人々を鍛えてきたのだ。
坂道を上り下りするたびに息が切れ、つい弱音を吐いてしまいそうになる自分に、僕はこう言い聞かせていた。「こんなことじゃ、おばあちゃんたちに笑われるぞ」と。
畑仕事で使うクワを肩に担いだ女性が、カッコいいポーズでこちらを見つめてくれた。働き者のいい表情だった。
ザンスカールで出会ったおばあさんは伝統衣装を着て、濃い色のサングラスをかけていた。標高が高く、紫外線が強いザンスカール地方では、目を保護するためにサングラスをかけている人が多い。
ラダック地方の農村で大麦を収穫する女性。黄金色に輝く麦穂が、谷を吹き抜ける風に揺れる。標高4000mの高地でも育つ大麦は、主食であるツァンパの原料になるラダックで最も重要な作物だ。
ザンスカールで出会ったおばあさん。左手に持った数珠には108個の珠があり、お経を唱えた数がかぞえられるようになっている。余生は仏教とともに生きるのがザンスカールの人々の生き方だ。
ザンスカールの尼僧院で料理係をしている尼僧のロブサン・ワンモンさん。尼僧院ではツァンパだけでなく、白いご飯とダールも食べられている。標高3800mでも美味しいご飯が炊けるのは、圧力鍋のおかげだ。
ザンスカールの農村で麦を刈り取っている女性。雲ひとつない濃い青空と黄金色の麦穂が鮮やかなコントラストを成していた。
ヌブラ渓谷の収穫風景。鉄板に小さな穴を開けて作った自作のふるいで、収穫した麦とゴミをより分けている。時間と手間がかかる脱穀法だ。
民族衣装を着て働くラダックの女性。この日は、説法を行うため遠方から高僧がやってくるというので、村人総出で道をきれいにしているところだった。仏教に篤い人々の心遣いだ。
ラダック地方の村で出会った笑顔。90歳になるというおばあさんが、大きく口を開けて無邪気に笑ってくれた。ちなみに彼女の夫は15歳も年下の75歳だという。なぜそんなに年が離れているのか、理由はよくわからなかった。
ラダック地方の女性たちが背負っているのは、山羊の毛皮から作ったファッションアイテム。立っているときは背中を覆って防寒着になるし、座っているときには座布団代わりになるという。これは彼女自身が自分のために作ったもので、売り物ではない。
ラダックの素晴らしさについて語ります
間もなく行われる「秋の帰国報告会」では、ラダックの雄大な自然と人々の素朴な暮らしぶりをたっぷりと語ります。宇宙が間近に感じられるほどの空の青さ、不純物が一切ない透明な光、そして何よりこの地で生きる人々の力強さを伝えます。
東京では11月24日に、名古屋では11月30日に、大阪では12月1日に開催します。ぜひお越しください。