2022年8月23日。コロナが明けて、2年半ぶりの海外渡航。旅先はインド北部ラダック地方だ。前半はラダック撮影ツアーを行い、後半はバイクを借りての一人旅だ。
 2000年以来、これほど長い期間ずっと日本にいたのは初めてだ。自分の旅人としての勘が鈍っていないか一抹の不安を抱えながらの旅立ちになった。

 

 8月24日。無事、ラダック地方の中心都市レーに到着。標高3500mの高地に体を慣らすために、今日はゆっくり過ごす予定。 撮影ツアーに同行しているGNHトラベル山名さんによれば、高山病を防ぐには、

1.水をたくさん飲む
2.ゆっくり行動する
3.昼寝はしない
4.深呼吸する だそうです。

 水をたくさん飲んで排出することが大事なんですね。

 

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今朝、ラダックの空に虹が架かった。色鮮やかで太くて明るい、見事な虹だった。旅の神様が祝福してくれている。そう信じたくなるような虹だった。

 

 ラダックに来る前は不安だった。2年以上ものあいだ旅から離れていた自分が、以前と同じように撮影できるのか、まったくわからなかったからだ。でも、カメラをぶら下げて歩き始めた途端、不安は消し飛んでいた。魅力的な被写体に体が自然に反応していた。どう撮ればいいのかは、体が記憶していたのだ。

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india22-01757ラダックの大自然と光と雲が織りなす風景を撮るのは楽しい。雲が落とす影と標高4000mの強烈な光が作り出すコントラストは、刻一刻と姿を変えていく。まったく同じ風景は二度と訪れない。僕はそう思ってシャッターを切っている。

 

india22-03109ザンスカールにやって来ました。3年前はインターネットどころか携帯電話すら一度も繋がらなかったんだけど、2年前から4Gのモバイル通信環境が整ったので(しかも早朝はけっこう速い!)、こうしてパドゥムからツイートすることができるのです。最後の辺境も、徐々に変化しています。

ネットが繋がるようになったものの、いまだにザンスカールの電力事情は悪くて、夜の6時から12時までと、早朝の4時から5時までしか電気が使えません。というわけで今(朝の5時半)は、電気が消えて真っ暗。そろそろ夜明けが近づいて、ぼんやりと明るくなってきたけど。

 

india22-03631ザンスカールの自然は雄大だ。大きく折れ曲がった地層が露出した山肌は、途方もない時間と力が加えられた結果、この景色が生み出されたことを物語っている。一頭の牛がゆっくりと横切っていく。牛飼いの姿はどこにも見えないが、きっとどこかにいるはずだ。

 

india22-04082ザンスカール・パドゥムの夜が明けて、部屋のカーテンを開けると、この景色がどーんと目の前に広がっていた。透明な光が山の稜線を際立たせている。ザンスカール最高!

 

india22-06687ザンスカールは収穫の季節を迎えている。強烈な日差しが降り注ぐ中、大麦を手で引っこ抜いていくのが、この土地のやり方だ。青い空に麦穂の黄色がよく映えている。

 

india22-04133ザンスカールの朝は乳搾りで始まる。朝と夜の二回搾って得られたミルクは、チーズやバターの原料になる。ラダックの人々は何にでもバターを入れる。一日何度も飲む塩入のバター茶はもちろんのこと、発酵酒チャンにもバターを入れて飲むことがあるそうだ。バター入りの酒の味は、とてもマイルドだった。

 

 

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ラダック地方でのマスク着用率は0.1%ほど。まぁほとんどノーマスク状態です。もちろん僕もマスクなんて一度もしていません。インドは完全にアフターコロナモード。9月7日から日本帰国時のPCR検査も不要になりますし、いよいよ日本もアフターコロナな雰囲気になりそうですね。さぁ海外に行きましょう!

 

india22-14969標高4200mにある湖・パンゴンツォは、今年も素晴らしい「鏡の世界」を見せてくれた。青空と白い雲、そして万年雪をいただいた山並みが、湖面に美しく反射する。パンゴンツォは「一生に一度は訪れたい場所」のひとつだと思う。

 

india22-18493ヌブラ渓谷にやってきた。夕方5時半、たまたま通りかかった沼地の水面に、対岸の山々が反射していることに気が付いた。パンゴンツォに勝るとも劣らない完璧なリフレクション。草木一本生えていない荒々しい山肌と澄み切った青空がまぶしく反射する様子を、飽きることなく眺め続けていた。

 

india22-18604ラダック地方ヌブラ渓谷の砂丘にはラクダがいる。もともとはシルクロードを旅したキャラバン隊で使われていたものだが、今は観光用に飼育されている。フタコブラクダは雨が降らない高地にも適応していて、ヌブラ渓谷の寒い冬も越すことができる。ちなみにキャメルライドは15分で350ルピーだそうだ。

 

india22-19610標高5359mのカルドゥンラ峠を越えて、レーの街に戻ってきた。カルドゥンラの天気は悪く、雪が降っていたが、山を下りていく先には、雲間から差し込む光によって明るく輝くレーの街が見えた。風景写真にとって悪天候は「好条件」にもなり得るんだと、改めて実感した。

 

india22-03819「ザンスカール&スル渓谷撮影ツアー」が無事に終了しました。7日間のハードスケジュール&標高5000m超えにもかかわらず、誰一人高山病にかかることなく、体調を崩すこともなく、旅を終えられました。移動と撮影をひたすら繰り返す密度の高い1週間。すごく楽しかった。みなさん、本当にありがとう!