極彩色に彩られたデコトラは、パキスタン人のデコる魂が凝縮された「動く芸術作品」だ。
タイヤ以外のパーツは全てカラフルに塗装され、バンパーやドアは鳥や草花をモチーフにした板金で埋めつくされている。
美しく飾られたパキスタンのデコトラの中には50年以上も前から走り続けているトラックもある。まるで細胞が入れ替わるように、エンジンを替え、ギアを替え、タイヤを替えながら、何十年も走り続けてきた。ずっと変わらないのはド派手なデコレーションと、運転手の「目立ったもん勝ち」という精神だ。
パキスタン人がデコるのはトラックだけではない。こちらは路線バスを派手に飾ったデコバス。明らかにデコのやり過ぎで、運転席からの視界が狭すぎるので、安全性には疑問が残る。カッコいいんだけど、乗客として乗るのはちょっとイヤだなぁ。
パキスタンのデコトラは年季が入ったものも多く、これはなんと74歳だそうだ。もはやクラシックカー。装飾は精緻な彫刻が施された木製で、お祭りの山車のような芸術性さえ備えている。 「俺よりもずっと年寄りなんだ」と55歳の運転手は語る。「スピードは遅いけど、まだまだ現役なんだぜ」
パキスタン人がデコるのはトラックだけではない。こちらは巨大なトラクターと荷台に過剰なまでの装飾を施した「デコトラクター」だ。このようなド派手で目立つトラクターに乗っていれば、運転にも気合いが入るのかもしれない。パキスタン人の「デコ活」はとどまるところを知らない。
パキスタンのデコトラに乗って移動する男たち。トラックのフロント部分に座るのは、パキスタンでも決して推奨されてはいないが、彼らの座り慣れた様子を見ると、乗り心地は案外良いのかもしれない。吹きっさらしで寒そうだけど。
パキスタンの駐禁取り締まりは豪快だ。フォークリフトで高々と持ち上げて、運び去ってしまうのだ。見せしめなのだろうか。実際、とても目立っていた。