インド南東部オリッサ州の山岳地帯には、アディヴァシと呼ばれる先住民が多く住む地域がある。独自の部族語を話し、他の地域との交流が少ない村の暮らしは、古きインドの伝統を色濃く残すものだ。女たちは川で洗濯し、杵で米をつき、木の枝で歯を磨く。
 近年になって道路が整備され、電気も使えるようになって、こうした僻地の村に住む人々も物質的な豊かさに触れるようになった。それでも、農業を基本にした暮らしの根幹は、今も昔もあまり変わっていない。

 

india18-07834米をつく女。重たい木の杵を振り下ろすのは、小数部族(アディヴァシ)の伝統的な精米法。サリーの着こなしも独特だった。

 

india18-08607女性が左手に持っている枝は「歯磨き棒」。毎朝この枝で歯をゴシゴシ磨けば、歯ブラシも歯磨き粉もいらないという。実際、彼女の歯並びはとても美しかった。

 

india18-05730洗い髪を結う女性。洗いたての髪に油をたっぷり塗り込んでから結ぶのが、村の女たちの伝統的なスタイルだ。

 

india18-07964

アルミの食器を頭にのせて運ぶ女性。インドでは、重い荷物は頭にのせて運ぶのが一般的だ。バランスを取るのは難しそうだが、慣れれば一番楽なのだそうだ。

 

india18-07734

家の壁に青いペンキを塗る女たち。インドの家屋はレンガとセメントを材料にして作られることが多いが、家の壁は思い思いの派手な色に塗られている。

 

india18-01388素焼きの水瓶づくりをしている老人。ヘラで粘土を叩いて、丁寧に形を整えている。何百年も前から受け継がれてきた伝統の製法だ。

 

india18-01610川で洗濯する女。大きな石に洗濯物を叩きつけて洗うのが伝統的なやり方だ。バチン、バチンという音が川岸に響いていた。

 

india18-03514井戸で洗濯する女たち。共同の井戸に多くの女たちが集まり、洗濯をしたり、食器を洗ったりしている。ここで行われる「井戸端会議」も重要なコミュニケーション手段だ。

 

india18-01787布団カバーを縫う男。昔ながらの足踏み式ミシンは、電源が不要で、細かい速度調整もできるので、いまだに多くの仕立て屋が使っている。天気が良ければ、屋外に持ち出して仕事することもできる。

 

india18-03164ろくろを使って素焼きの水瓶を作る男。ろくろは手動だが、大きくて重いので、一度回すと3,4分は安定して回り続ける。そのあいだに粘土の塊から水瓶のかたちを立ち上げていくのだ。