インド一周の旅を始めて1ヶ月が経過。今回もインド各地で渋イケメンを撮っている。僕は最初にテーマを決めて旅をするタイプではないので、意識して渋イケメンを探しているわけではないんだけど、なぜか気が付くと目の前に渋イケメンが立っているのだ。

 

india18-16903タミルナドゥ州の染色工場で、また新たな渋イケメンのスター候補に出会ってしまった。この肉体、この表情、この陰影。男が惚れる男だ。

 

india18-11396威厳を感じさせる白いヒゲと、柔らかく奥深い表情。こういう男に出会うと、やっぱりインドは「渋イケメンの国」だって思う。

 

india18-22801ムスリムが経営する肉屋で働く青年。まだ十代の修行中の身だが、寡黙に熱心に肉をさばいていた。将来、渋イケメンになるのは間違いないだろう。

 

india18-25776製粉所で働く男。表情も佇まいも渋イケメンだが、ハートマーク入りのファンシーなTシャツとのギャップが激しい。一体誰がこのシャツを選んだんだ?

 

india18-28187最近気になるのは「ギャップのある渋イケメン」だ。インドの街角で、縦笛とカラフルなピロピロ笛(吹き戻し)を売り歩く男がいた。見た目と売っているものとのギャップがすごい。ちなみにピロピロ笛は1個10ルピー(18円)だった。

 

india17-11285india18-12477渋イケメンの外見は1年や2年じゃ変わらないって思っていたけど、そうでもなかった。髪型と髭が変わるだけで、かなり印象が変わる。上が去年で、下が今年に撮ったもの。同じ場所で同じように揚げ物を作っていたけど、一瞬「別人?」って思うぐらい違って見えた。

 

スクリーンショット 2018-01-13 19.48.53india18-20626グーグルマップに「オタカラ・ストリート」という通りがあると表示されていたので行ってみた。そこで出会ったのは白い髭がすてきな渋イケメンのおじさん。確かに、僕にとっては「お宝」ではあったけど。

 

india18-19162ホテルのマネージャーに年を訊ねると「18歳だ」と答えたので驚愕した。インド人が老けるのが早いってことは十分にわかっていたつもりだったが、想像のはるか上を行っていた。ポイントはヒゲと落ち着き、でしょうか。

 

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チェンナイで出会ったサリーム君はマイケル・ジャクソンに憧れてこの髪型にしているのだそうだ。確かに若い頃(BADの頃)のマイケルによく似ているが、クリスタルキング(大都会!)にも似ていると思う。

 

 

大都会プネーへ

 インドも6周目になると、さすがに「行き尽くした感」が出てきて、見慣れた場所が多くなってくる。これではいけないと、今回は積極的に「未踏の地」に向かうことにしている。マハラシュトラ州プネーを訪れたのも、僕にとって未開拓の場所だったからだ。

 プネーは人口500万の大都会。小さな田舎町ばかり旅してきた僕にとって、外資系企業と高層マンションが建ち並ぶモダンシティー・プネーの姿は圧倒的。力強く成長するインド経済のパワーを見せつけられる街だった。

 プネーではデシュムク陽子さん・シッダールタさん夫妻の家に泊めていただいた。フリーランスの翻訳業をしている陽子さんは、ITエンジニアをしてる夫シッダールタさんとともに15年前からプネーに住んでいる。プネーには日本人が200人しか住んでいないんだとか。韓国人は2000人いるらしいけど。

 

india18-26992プネーの街で偶然出会ったタンベ君は流暢に日本語を話した。名門プネー大学で日本語を学んでいるという。プネーには富士通などの日本企業が進出しているので、日本語を勉強する学生が多い。別れ際、彼は丁寧な日本式のお辞儀で「さようなら」と言ってくれた。物腰や態度まで日本人に似てくるようだ。

 

 プネーではあまりいい写真を撮ることはできなかった。洗練された都会、外国人がたくさんいるコスモポリタンな雰囲気は、僕の写真にとってかなり難しい環境なのだと再認識した。それは十分にわかっていたつもりだったが(だからこそ、大都市にも観光地にも足を向けていたなかったのだが)、久しぶりにインドの大都市を歩いてみて、「うん、やっぱりそうなんだ」と思ったのだった。

 プネーでの収穫は「インド人の中にも僕の写真をいいと思う人がいる」とわかったこと。現地のプロ写真家とも交流したのだが「インド人の僕でもまったく知らない光景だ」と驚かれた。

 僕が普段撮っているインドの農村や田舎町に住む人に僕の写真を見せても、基本的に「あ、そう」という素っ気ない反応しか返ってこない。彼らにとってはあまりにも見慣れた光景だからだ。日常の働く様子を見せられても、どうリアクションしていいのかわからないのだ。

 しかしプネーのような都市に住む人々は、感覚が違う。インドの田舎に住む人よりも日本人に感覚が近いのだと思う。彼らは僕の写真にある種の郷愁を感じているのだ。

 

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 インドには「そう簡単に変わらない田舎」と「劇的に変わりゆく都市」という二つの顔があって、僕は主に前者を旅している。僕の撮るインドは偏っている。プネーのような大都会の激しいダイナミズムに触れると、自分の偏りがよりはっきりする。僕が撮りたいのはスローな方のインドだ。