ミャンマーは仏教徒が国民の約90%を占める「仏教の国」だ。中国を経て日本に伝わった大乗仏教ではなく、東南アジアに伝わるテーラワーダ(上座部)仏教を信仰している。
仏教徒には「一生に一度は出家する」という不文律があり、多くの男子は子供の頃に出家して、僧院で修行する。共同生活を送りながら、仏教を学び、社会の厳しさを知るのだ。
僧侶はまったく働かない。信者からの寄付や托鉢によって衣食住を支えられる一方で、自らは瞑想と修行の日々を送り、悟りへの道を追求する。
在家の仏教徒は、商売で成功すると巨大な仏像や黄金のパゴダなどを建てて、より良い来世に生まれ変わるために徳を積む。
こうして今もなお、ミャンマー人の生活の中心には仏教がどっしりと根を下ろしているのだ。
聖地ザガインの僧院で、仏教を学ぶ若い僧侶たち。修行僧の一日は、講義と自習と瞑想の繰り返しだ。この僧院の戒律はとても厳しくて、敷地の外に出ることすら許されない。「監獄並みの不自由さで世俗との関わりを経たなければ、悟りへの道は開けない」ということなのだろう。
僧院で仏教を学ぶ若い僧侶。経文に書かれていることを暗記し、それを先生たちの前で暗唱しなければいけない。試験前の緊張感は、普通の学校に通う生徒とそう変わらないのかもしれない。
ミャンマー中部にある仏教の町・ザガインの僧院で学ぶ少年僧。仏典を声に出して読み上げ、頭の中にたたき込む。歩きながら覚えるのも、暗記には効果的なようだ。
僧院で昼食を食べる小坊主たち。朝の托鉢でいただいたご飯に野菜のおかずを混ぜて食べる。質素だけどなかなか美味しそうだ。僧侶の食事は朝と昼の二回で、午後は飲み物以外口にすることはない。
聖地ザガインにある尼僧院。ミャンマーの尼さんはピンク色の軽やかな袈裟を着て、男性の僧侶と同じように修行生活を送っている。僧院と尼僧院ははっきり分かれているので、男女が交わって話をすることはほとんどない。
ミャンマー中部を流れるエーヤワディー川(イラワジ川)に沈む夕陽を眺める僧侶。対岸のインワは400年にわたってビルマ王朝の都として栄えた遺跡の街だ。
「パトドーヂー・パゴダ」はマンダレー郊外アマラプラにある仏塔だ。金ピカに輝くパゴダが多いミャンマーで、白亜のパゴダはわりと珍しい。青空と白い壁が見事なコントラストを成していた。
小高い丘の上に数多くの僧院とパゴダが並ぶザガインは、1万人近くの僧侶が暮らす仏教の街だ。僧院は仏教を学ぶだけでなく、貧しい家の子供が高等教育を受けられる場所でもあるので、ミャンマー全土から若い僧侶たちが集まってくる。
ミャンマー西部ラカイン州の古都ミャウーで最も大きく、存在感のある仏塔「ランブワンプラ・パヤー」。朝の光を背景にしたシルエットがとても美しい。観光客が少ないミャウーでは、一人で静かに遺跡に向き合うことができる。
ミャンマー西部の古都ミャウーにある仏教遺跡が、朝の光を受けて光り輝く。かつて栄華を誇ったアラカン王国の夢の跡だ。野ざらしにされ、表面を雑草に覆われたパゴダが、時の流れを感じさせる。