ミャンマー西部ラカイン州に住むロヒンギャの村を訪ねると、すぐにたくさんの子供たちに囲まれてしまう。滅多に来ることのない外国人を、好奇心いっぱいの目で見つめるのだ。「フォト・マリブ!(写真撮ってよ)」という声に応じて、僕はシャッターを切った。
ロヒンギャの子供たちは本当によく笑うし、いつでも元気いっぱいだ。どこにでもいる、ごく普通の子供たちなのだ。そんなロヒンギャの人々が市民権を奪われ、差別され続けている現実は、あまりにも理不尽なことだ。
ロヒンギャの村で出会った少女は大きなアルミ製の水瓶を抱えていた。川で野菜を洗い、川の水を汲んで、家に戻る途中のようだ。小さな子供にも果たすべき役割があり、それを日々こなしている。それが村の暮らしだ。
大きな鍋に水を汲んで、頭に乗せて運んでいた少女。毎日の水汲みは、子供たちに与えられた仕事だ。
村のすぐそばにある川は、村人の生活とは切っても切り離せない関係にある。ボートに乗って漁をするだけでなく、川の水で体を洗ったり、洗濯をしたりする。
ロヒンギャの村で出会った赤ちゃんは涙をぽろぽろと流して泣いていたが、隣にいるおばあさんは特にあやすこともなく、黙々と漁網を編み続けていた。ロヒンギャの村は子供の数がすごく多いので、子供の泣き声や叫び声があちこちから聞こえてくる。
村の子供たちは、毎朝イスラム学校・マドラシャーに通って、コーランを暗唱している。男の子は帽子をかぶり、女の子はヒジャブで髪の毛を隠している。それがムスリムの正装だからだ。
イスラム学校マドラシャーで学ぶ少女。鮮やかな柄のハンカチをヒジャブ代わりに頭にのせているのがかわいい。カメラを向けると、少し恥ずかしそうにはにかんでくれた。
イスラム学校マドラシャーで、毎朝コーランの暗唱を行なっているロヒンギャの少年。何かを訴えかけるような視線が印象的だった。
少女が顔に塗っているのは、天然の日焼け止め「タナカ」。もともとはミャンマー人の習慣だが、ロヒンギャの人々にも広く定着している。タナカの木の幹をすり下ろし、水と混ぜてペースト状にしたものを顔に塗る。