インド北部ラダック地方のダーという村で、3年に1度行われる収穫祭「ボノナー」を見てきた。女たちは山羊の毛皮を着て、美しい細工が施されたアクセサリーをぶら下げ、頭には生花を盛り付けて、歌い踊る。5日間、毎晩続くという長い祭りだ。

 

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 ダーとその周辺にある村々に住むドクパ族の女性たちは、日頃から季節の花々を頭に飾り付ける習慣を持ち、「花の民」とも呼ばれている。僕が訪れた10月は、村のあちこちに実るほおずきを飾っていた。この花飾りは人に見せるためのものではなく、自分たちが美しくありたいからそうしているのだ、と聞いた。

 

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 村の女性たちは祭りなどのハレのときだけでなく、普段から花飾りを身につけている。朝摘んだばかりの新鮮な花を頭に飾って、畑仕事に出かけるのだ。大きく育ったキュウリをバケツ一杯収穫した女性にカメラを向けると、花のような笑顔を向けてくれた。

 

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 ドクパ族の女性たちは髪型も独特で、三つ編みにした髪を長く長く伸ばして、後ろで結んでいた。そして顔立ちも他の仏教徒たちとは異なっている。ドクパ族はアレキサンダー大王の遠征軍の末裔とも言われていて、パキスタン北部に住むアーリア系民族と同じ、つまりヨーロッパ的な顔なのだ。

 

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 収穫祭ボノナーでは、男たちも大きな花飾りをつけて歌い踊る。歌詞は民族の歴史や伝統を歌った長大なもので、5日間で21曲をすべて歌い終えると、村には幸運がもたらされると信じられている。

 

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 収穫祭ボノナーは、夜6時に始まり、夜10時頃に終わる。夜に行う理由は「1.昼は農作業で忙しいから」「2.昼にたくさん酒を飲んで酔っ払う必要があるから」という異なる説明を村人から聞いた。本当の理由はたぶん後者だと思う。男たちはみんな酒臭かったからだ。

 夜、暗くなってから始まる踊りの様子を撮影するのは難しかった。小さな電球三つが灯るだけの暗い中で行われていたからだ。高感度性能の高い新しいデジカメを使っても、ISO6400を軽く超えてしまうようなシチュエーションできれいな写真を撮るのは困難だ。もちろん、この祭りはあくまでも地元の人々の伝統行事であり、観光客の写真撮影のためにやっているわけではないのだから、我々に文句を言う権利はないのだが。

 そのタフな状況を救ってくれたのが、コルカタから来た若者のLEDライトだった。動画撮影のために彼が灯していた照明がなければ、ずっとひどい結果になっていたはずだ。今後、ボノナーを撮影する方には、LEDライトを持参することをお勧めしたい。

 

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 ちなみに収穫祭ボノナーの日程は、直前にならないとわからない。地元の占星術師が決めるのだが、もし村に死人が出たり、赤ちゃんが生まれたりすると、日程が変更されてしまうという。「幻の祭り」とまでは言わないが、運が良くなければ目にすることのできない祭りなのだ。どうしても見たいという人は、現地の旅行代理店に問い合わせてみるといいだろう。

 ダーにはゲストハウスがいくつかあるが、祭りの期間中は満室になってしまうので、事前に予約しておくことが必要だ。

 2019年はダーで行われたボノナーだが、2020年はガルコン村で行われ、2021年はパキスタン側にある村で行われるという。次にダーでボノナーが開催されるのは2021年だ。