質問:長旅がつらくなるとき
私は数ヶ月単位の海外一人旅を経験したことがないのですが、時折自分は一人での長旅に向いているのだろうか?短い旅行の方が向いているのだろうか?長旅では旅の途中で疲れてしまい日本にすぐ帰ってくることになるのだろうか?と考えることがあります。
想像の粋を超えないので教えて欲しいのですが、実際に長く旅をしていて、つらいと感じるのはどういうとき(状況)でしょうか?
ユーラシア一周旅行記では3年間でしたか旅を続けている方の話もありましたが、長旅を続けている人たちの特徴は楽観的で、好奇心が強いことでしょうか?
その他にも(ご自身のことも併せて)感じることがあれば教えてください。参考にさせていただきます。
三井の答え
僕は最初の10ヶ月の旅を皮切りに、毎年のように4,5ヶ月の長旅を繰り返しているのですが、1度目の長旅と2度目以降の長旅とは、やはり質が違います。
確かに4ヶ月、5ヶ月という長いあいだ、日本語の通じない、日本食の食べられないところを旅するのはしんどいことです。どこで何に出会うのかは全くわからないし、どういうトラブルに見舞われるのかもわからないという先の見えない不安のようなものもある。
けれど、「必ず帰ってくるのだ」という確信の元に旅を続けている限り、その不安は限定的なものになるのです。「暑いけど、まずいけど、しんどいけど、来月には日本に帰れるものな」という風に考えられるから。
しかし最初の長旅は違いました。
最初の旅でもっとも辛かったのは、「旅の終わり」をどうするのかという問題に直面したときでした。いわゆる「放浪の旅」をしている旅行者は、どこへでも行ける自由を手に入れた代わりに、どのようにして旅に決着をつけるのかを、自分で決めなければならない。
長い旅の過程で、好奇心は摩耗してくる。同じ光景を見ても心が動かなくなる。移動が苦痛になってくる。それでも自らを鼓舞して動き続けるのか、あるいは「沈没」という名の穏やかな泥土の中に身を沈めるのか。それもまた自分の選択次第なのです。
旅を始めるのにたいした理由はいらないけれど、旅を終えるのにはそれなりの理由というか、自分の中での「納得」が必要になるのだと思います。自分がどこまで行ったのか、どこまで行けなかったのか、何に希望を見出したのか、何に失望したのか。
旅の終わりは自分に向き合うときです。そしてそのことが、ときとして一番辛いことなのではないかと思うのです。