「インドは笑顔にあふれた国だ」なんてことを言うと、意外そうな顔をする人もいます。タイやカンボジアのように外国人観光客に優しいというイメージは全然ないし、むしろ「インドを旅行しているあいだ、無愛想な表情や仏頂面の人にばかり出会った」という人の方が多いのかもしれません。
確かにインド人は「愛想笑い」や「営業スマイル」があまり得意ではありません。雑貨屋の店員も、ホテルの従業員も、オートリキシャのドライバーも、お客に対して愛想良く接してくれるわけではないし、こちらが笑いかけても鉄のような無表情を崩さない人もいます。
しかし、それはあくまでもインド人が「笑顔が不要な場面では無理に笑わない」という性質を持っているからであって、心から楽しいとき、相手に友好や親愛の情を示したい場面では、インドの人々も実によく笑います。彼らは感情を装ったり、無理に隠そうとしたりしない分、日本人よりも喜怒哀楽が激しく、ストレートでわかりやすいのです。
インド人が笑うときは、心から笑っています。そんなインド人の笑顔を見ると、自然とこちらも笑顔になるのです。
一杯のチャイが人を笑顔にする。インド西部グジャラート州のチャイ屋さんが珍しい外国人(つまり僕のことだ)に作りたてのチャイをご馳走してくれた。グジャラート州ではチャイはコップではなく、お皿に注いで飲むのが一般的だ。その方が早く冷めるから、らしい。
インド西部グジャラート州の製粉所で出会った笑顔。インドの街角にはこうした製粉所が必ずあって、その日の料理に使う小麦を粉に挽いてくれる。白髪なのか、小麦粉で白くなったのか、おそらくは両方なのだろう。男の白い笑顔がまぶしかった。
インド西部グジャラート州で出会った女性。カラフルなサリーを身にまとい、足には重そうなアンクレットをはめて、ひなたぼっこをしていた。日常の中に色彩が溢れているのが、インドという国だ。
インド西部グジャラート州で出会った男。白い帽子を被った敬虔なムスリムの老人が楽しげに笑ってくれた。まさに破顔一笑だ。
インド北西部ラジャスタン州の農村で出会ったきょうだい。幼い弟の面倒を見るお姉ちゃんの表情には、すでに母性の萌芽が見て取れる。やがて子を産み育てていく女性としての自覚が芽生えているのかもしれない。
インド北部パンジャブ州で出会った笑顔。市場で荷物を運ぶ馬と、その御者の若者とのツーショットだ。インドの市場では、馬やロバやラクダを使って荷物を運ぶ姿をよく目にする。
インド最大の聖地バラナシ郊外の農村で出会った笑顔。幼い弟を抱いた少女が、満面の笑みを向けてくれた。
インド西部グジャラート州で出会った笑顔。インド女性はシャイな人が多く、いい表情を撮るのは男性ほど簡単ではないが、彼女はまっすぐな視線を向けてくれた。
インド西部グジャラート州の市場で出会った笑顔。ナスやタマネギ、ライムなどの新鮮な野菜を量り売りしている男が、愛嬌たっぷりの笑顔を向けてくれた。
インドの小学校で出会った笑顔。ピンク色の制服を着た少女が、満面の笑みを向けてくれた。低学年の教室には机と椅子がなく、子供たちは床に座って教科書とノートを広げていた。