質問:漠然とした将来への不安

相談になるのかわからないのですが、私は浪人一年目の18歳の女で、今私は大学(観光学部)に通うか、幼稚園の先生になるために短大に進学するか考えています。
色んな地域に行って色んな景色を見たいと思い、観光学部はどうかと考え、写真【風景】にも興味があるので(今は自分のカメラすらないですが)、写真部や旅行サークルに入ろうかと考えていたんですが、今観光系でこの職業に就きたいというのがでてこないので、卒業してどんな職業に就こうかと漠然と不安があります。
 
それに対して、幼稚園の先生になるために短大に進むというのは、資格が取れて尚且つ将来の職も決まっていて、園児と毎日過ごす日々は仕事内容にも自分は適してるのかなと思ったりします。子育てに専念する為に専業主婦になるのも夢なので、短大に通い、写真部や旅行サークルに入って考えてみて、そしてもし幼稚園の先生になるんだったら休みに海外旅行に行ったり、結婚して家族と旅行したり、写真の方は趣味としておくという道がいいのかなと考えているのですが・・・
 
どう思いますか? ・・・これは相談なんですかね;
 
 

三井の答え

 「これは相談なんですかね」って聞かれても困ってしまいますけど。
 どうしてこのメールを僕に送ってきたのかは、ちょっとわからないのですが(もっと他に適任者がいるようにも思います)、何の因果か僕が受け取ってしまったので、答えてみようと思います。
 
 最後の「これは相談なんですかね」というつぶやきが、全てを語っているように僕には思えます。
 
 あなたには「自分がいったい何を相談したいのか」がわからない。それが根本的な問題なのです。
 進学先であるとか、将来の目標であるとか、欲望のありかであるとかが、すべて漠然としていて掴めていないのです。なんかこう全てが「ふわっとした」イメージにしかなっていない。
 
 「将来はいろんな地域に行きたいなぁ」とぼんやりと思っているから、「それじゃ観光学部はどうだろう」と考えてみる。子供が好きだから幼稚園の先生もいいし、専業主婦への憧れもあるし・・・。
 
 いや、別にそれでもいいんですよ。そういうことを窓際でぼんやりと考えている人はいくらでもいるだろうし、特に変わった悩みってわけでもありませんし。
 
 だけどこういう「窓際でぼんやり系」の悩みを、見ず知らずの写真家に相談するというのは、ちょっとどうなんだろうと思ってしまうのです。そんなこと唐突に聞かれても相手は困ってしまうな、という配慮が感じられない。自分のふわっとした悩みを誰もがふわっと受け止めてくれるんだと勘違いしている。それはちょっと問題です。
 
 もしあなたが自分の将来に対して真剣に悩んでいるのだとしたら、こういうふわっとした状態のままでいられるはずがないのです。「漠然とした不安」を、もっと絞り込んで「現実に私が取りうる選択肢」に変えていかないといけない。
 
 僕はよく知らないけれども、大学の「観光学部」というのは観光の楽しみ方を教えてくれる学部ではないでしょう? そうではなくて、観光産業をマネージメントできる人材を育成するのが目的なんじゃないですか。そういうところをちゃんと調べてみましたか?
 
 写真に興味があるんだったら、どうして自分のカメラを持っていないの?
 今どきデジカメなんてものすごく安く買えちゃうでしょう? 散歩がてらに好きなだけ写真を撮ることなんて誰にでもできる。
 なのにそれすらもしないで、「写真は趣味がいいか、仕事にするのがいいか」なんて的外れなことを考えている。
 
 浪人生なんでしょう?
 だったら一応あなたは「限られた選択肢の中からどれを選び取るのか」という瀬戸際に立たされているはずですね。
 
 でもあなたのメールからは不思議とその切迫感というか危機感が感じられないのです。「迷っている」って、もうじき受験本番じゃないの?
 
 でもまぁ、いまさら「マジメに悩め!」なんて言ってもきっと遅いと思うから、別の言い方をしますね。
 観光学部でも、保育士の資格を取りに短大に行くのでもいいから、とにかくどこでもいいから勉強できる空間に自分を入れてしまいなさい。
 
 漠然とした悩みをいつまでも舌の上で転がしていても、それはずっと漠然とした悩みであり続けるだけだから、その悩みは一時棚上げにして前に進んでみなさいよ。
 
 それで「あぁ失敗した」と気づくことになるかもしれないし、新しい自分の可能性に出会うことになるかもしれない。でも先のことなんて誰にもわからないんだから、サイコロを振ってでもいいから自分の進む道を決めて、しっかり自分の足で歩いてみなさい。
 
 そうすればきっとあなたが次の壁にぶち当たったときには、今みたいに「ふんわりした」言葉じゃなくて、もっとソリッドで奥行きのある「自分の言葉」でその悩みを語ることができるはずです。
 健闘を祈ります。